【書評】あの野麦峠でも? 日本の山で本当にあった怖い話

 

これもリアルにイヤだろうなという不思議な経験談。ある秋の日にキノコ採りに出かけた。すれ違い出来ない細い林道を進んでいくと、待避所に一台の軽トラが止まっていた。見覚えのない車でナンバーも他地区。仕方ないのでもう少し上まで行くかと登っていくと、また待避所に軽トラが。さっきの軽トラである。先回りは不可能なはずだ。さらに登っていくと、また待避所にあの軽トラが。キノコ採りどころではなくなった。軽トラのことは考えないようにして、ひたすら里へと逃げ帰った。後日、そのことを先輩猟師にすると、彼は「ああ、そんなことならあるかもしれないなあ」。妙に安心したそうだが、これ怖い。

長らく林業関係の研究職に携わってきた90歳の人が言う。

「山や森には分からんことがたくさんあるんですよ。それは解明できんし、また全部解明する必要もないと思うんです。不思議なことはないという全面否定じゃ駄目じゃないですかねえ」

山のベテランが道に迷ったり、いつの間にか思わぬ所にいたり、変な音を聞いたり、変な発光体を見たり、何物かにあとをつけられたり、「錯覚だ」で片づけられない事態に陥ったり、山や田舎は怪異がいっぱい。「人知を超えた存在は少なからずあり、それを恐れ敬う行為は人として必要だ」と著者は考えている。わたしも同感だが、そういう存在に会いたくない。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

 

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