消えゆく地方の百貨店…悩める「老舗」は生まれ変われるのか?

 

同社は、伊勢丹と三越とが経営統合し、2008年4月に持ち株会社として発足しました。2011年4月には合併新会社として三越伊勢丹が発足しました。経営統合は、増収増益を続けていた伊勢丹が減収減益を続けていた三越を救う形で行われました。経営統合時の両社の売上高は同程度でしたが、経常利益は伊勢丹が三越の2倍以上も稼ぎ出している状況でした。

当時の業績は伊勢丹が優位にありました。流行やファッション性を追求し、若者を中心に支持を得て勢いがありました。一方、三越は老舗のプライドがありました。1673年に三井高利が前身の越後屋を創業しました。創業者の名前と屋号のそれぞれ一部を取って「三越呉服店」となり、現在の「三越」になりました。社名で三越を先にしているのは、三越のプライドを保つためだったと言われています。

水と油のように見える両社でしたが、相乗効果と規模の経済を期待し、経営統合の道を選びました。しかし、2008年に行われた経営統合以降の業績は低迷しています。三越伊勢丹HDの2009年3月期の売上高は1兆4,266億円ありましたが、その後右肩下がりで低下し、2016年3月期には1兆2,872億円にまで減少しています。

同社はリストラが不可避の状況です。売上高は業界首位にあるものの、減収傾向の上に収益性が低く高コスト体質から脱却できていません。同社百貨店事業の本業のもうけの割合を示す営業利益率は近年1.6~1.9%で推移しています。業界3位の高島屋の1.5~1.9%と同程度ですが、大丸松坂屋百貨店を運営する業界2位のJ.フロント リテイリングの2.0~3.8%に水をあけられています。ちなみに、西武やそごうを運営するセブン&アイ・ホールディングスの百貨店事業は深刻で、0.4~1.1%です。

営業利益の額を見ても、厳しい現状がうかがえます。2015年度の三越伊勢丹HDの百貨店事業の営業利益は215億円で、J.フロント リテイリングの287億円と比べて見劣りします。三越伊勢丹HDの同年度の会社としての営業利益は331億円で、商業施設「パルコ」を加えたJ.フロント リテイリングの営業利益480億円、イオンモールの日本セグメントの493億円と比べても見劣りしています。

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