消えゆく地方の百貨店…悩める「老舗」は生まれ変われるのか?

 

地方の百貨店の苦境が鮮明です。2月28日に西武筑波店が閉店しました。茨城県つくば市で唯一の百貨店で、32年の歴史に幕を下ろしました。2月28日には西武八尾店(大阪府八尾市)が36年にわたる営業に終止符を打ちました。

地方の百貨店は都市部の商業施設とも競合しています。共働き夫婦や単身世帯の増加、地下の下落などを理由とした人々の都心回帰の動きに合わせて、都市部では商業施設の新規開業や既存商業施設の改築・改装が相次いでいます。地方の人でも都市部に足を運べば魅力的な商業施設を利用できます。

西武筑波店が閉店した理由の一つとして、都心部の商業施設との競争で敗れたことが挙げられます。2005年に鉄道「つくばエクスプレス」が開業しました。茨城県・つくば駅と東京都・秋葉原駅を結ぶ路線で、最速45分で両駅を結びます。多くの人々が同鉄道を利用して都心に買い物に出て行くようになりました。また、2013年にイオンモールつくば(つくば市)が沿線で開業するなど、沿線にある競合との競争も発生しました。そのため西武筑波店から客足が次第に遠のいていったのです。

深刻なのが三越伊勢丹ホールディングス(HD)です。3月20日に三越千葉店と三越多摩センター店が閉店しました。さらに、広島三越(広島市)、松山三越(松山市)、伊勢丹松戸店(松戸市)、伊勢丹府中店(府中市)の4店舗のリストラが発表されています。2016年3月期の広島三越の最終損益は1億円の赤字、松山三越は3億円の赤字です。伊勢丹松戸店と伊勢丹府中店の売上高は減少傾向を示しています。

また、2017年1月9日付読売新聞は、「百貨店首位の三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、札幌、新潟、静岡にある5店舗について、売り場面積の縮小や業態転換を含めた構造改革を行う方向で調整に入った」と報じています。

前出の4店舗のリストラは社長の辞任の引き金にもなりました。リストラを発表した大西洋社長(当時)は社長辞任に追い込まれました。社内で機関決定されたリストラ策でなかったため反発を招いたことが一つの理由とみられています。また、改革策や待遇について伊勢丹出身者と三越出身者の意見対立が表面化したことも辞任に影響したと言われています。

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