男女の仲がごたつく大きな原因のひとつに、「会話のすれ違い」がありますよね。男性は女性に「はっきり言ってくれ」、女性は男性に「なんで察してくれないのか」と思っているもの。今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』では著者の真井花さんが、なぜ「男女間のコミュニケーションの齟齬」が起きてしまうのかを細かく分析、さらにその解決法を記しています。
してくれればいいのに
さて、本日は自分に出来ることだけをやるお話。
家事をめぐる夫婦の会話。
「どうして自分だけテレビを見ていられるわけ? 洗濯物くらいたたんでくれたっていいじゃない」
「洗濯物をたたんでって言ってくれればいいのに」
…こういう話、よくありますよね。それこそネットにもリアルにもトナリにもワガヤにも(^Д^)
ま、イワユルヒトツの男女間のコミュニケーション方法の齟齬の問題ですよね。「方法」の「齟齬」の問題ですよ。「相手の」「性格やヤル気」の問題じゃないですよ。つまり相手を変えても方法を変えなくては、また同じ問題が起こるということです。
これは典型的なパターンですよね。あ、これをもし知らない方がいるなら、ハッキリ言えますが、それは勉強不足です。今日はこれを知っている前提で、その後のお話をしたいんですよ。
ということで、こっから今日のお話。一般に会話において
- 男性は問題解決的かつローコンテクスト
- 女性は情報共有的かつハイコンテクスト
と言われています。個人差はもちろんありますが、マスで見ればそういう傾向があるということです。この会話に対する基本的な態度の違いが日常会話での目も眩むほどたくさんのスレ違いを生むわけです。家事や育児などの分担や行動では、特にそれが尖鋭化します。なにせ共働き夫婦は忙しくてヨユーがないから、言い方になんか気を遣っていられなかったりするんですよね。
夫婦に限らず男女間で良くあるコミュニケーションのクイチガイについて、男性の決めセリフ(?)は
「ハッキリ言ってくれればいいのに (・へ・)?」
ですよね。要求やお願いをハッキリ解るように表現してくれれば、チャンと理解出来るし、出来るよう努力もするのに。どうしてオンナは、持って回った言い方しかしないんだみたいな。
…うん、なるほど。じゃ、この際だから男性にハッキリ言ってみましょう。
「ハッキリ言う」は、女性にはできません(>×<)
ハッキリ言いましたよ。なぜなら、女性はモノをハッキリ言わないように子供のころから躾けられてきているからです。ビックリしました? 女性は、言われる前に察してナンボの世界で生きているんです。気遣いとか細やかさは、あからさまな「要求」とか「請願」とかとは無縁の、デリカシーとニュアンスに溢れたものだからです。
こういう世界の中において「ハッキリ言う」のは、極めて下品かつ思いやりのないガサツな行為(◆_◆)です。だから、出来ないんですよ。ハッキリ言うと相手が傷ついてしまったり怒ったりするんじゃないかと本能的に感じてしまうんです。
ちなみに「ハッキリ言われる」のもアウトです。なぜならそれは、ハッキリ言われるまで気がつかない(=ジョシじゃない…)ということを意味しているからです。女性はそれほどまでにデリカシーとニュアンスの溢れた世界にいるんですよ。
男性読者さんのために、例を挙げましょう。たとえばです。女性が「置きっ放しのマグ、洗って、そこの棚に戻しておいてくれる?」とハッキリ言ったとしましょう。これが万が一女性同士でカワされた会話なら
(すぐそこにあるのに気がつきもしないみたいだけど)置きっ放し(ってビックリなんだけど)のマグ、(他の人の分もフツー洗うけど、自分の分くらい)洗って(片付けできないみたいだから念を押しておくけど)棚に戻しておいてくれる?(怒)
と、このくらいに受け取るんですよ。ホントですって。言われた女性は多分「あ、ごめんね。気がつかなくて(;゜ロ゜)」と謝ってからマグを急いで洗うんです。気がつかなかった時点で大きくマイナスポイントになっており、洗って片付けるのはそれをせいぜいゼロに戻すくらいのものでしかありません。
なので女性は、受け手側のこうしたダメージを慮ってなにか要求やお願いがあるとき、言葉もタイミングもすっっっっっごくイロイロ考えてから行動に移します。
で、それをつい女性同士のときだけでなく、男性が相手の時にもやってしまいがちです。やり慣れているもんだから。これが男性側から見ると「持って回った・解りにくい」言い方に感じられる理由だろうと思います。
なので、逆に、女性から男性に対して「コレコレコウコウして欲しい」とハッキリ言われた場合、男性側は解りやすくていい♪ とか喜んでいる場合じゃありません。女性はかーーなり考えて、キヨミズの舞台から飛び降りるくらいの気持ちで「これだけは解って欲しい(;_;)」と思っている可能性が高いからです。
余談ですが、小悪魔系とか魔性のオンナ系とか評される女性たちは、この「自分の要求をハッキリ言うこと」に慣れているように思います。女性同士では「ハッキリ言う」のが「アンビリーバボーな不躾ぶり」だとしても、男性相手の場合には「解りやすくていい」になるんでしょう(苦笑)。このクイチガイが、彼女たちへの男女間の評価の差に表れている気がします。
ではその逆バージョン、女性が男性に対して思いがちなことのお話。男性が言うのとは全く別の方向で、女性は言うわけです。「どうして解ってくれないの?(><。)?」と。
世界でトップのハイコンテクストの国、日本。要するに、言語外でコミュニケーションする力が高いってことです。行間とか空気とか、他の国の人には読めないんですね。
そんな中でも女性は、超能力者並みだそうです。もともと女性の方が観察力が高く、細かい事に気がつきやすい上に、ハイコンテクストの文化的な背景があるわけですからね。つまり、家事や育児、介護で、大半の状況は女性にとって一目諒解! ってことです。いわゆる見れば分かるってヤツですね。
- タオルをたたむならバスタオルもたたむよね
- 私が暑いなら白無垢姿なら余計に暑いよね→なんの話か解らない方は過去ログを漁ってくださいませ(^Д^)
- 泣いているならとりあえずオシメかな?
…。ほとんど一目見ただけで大半の状況は把握できてしまいます。そしてマズいことに、この能力があまりにも発達し過ぎていて、超能力者レベルになっているにもかかわらず、超能力者の自覚がない(・_・? んですよ。で、つい周囲にも(男性にも)、同じ対応を求めてしまうと。ここにエベレストと日本海溝並みのクイチガイが生まれてしまうんです。
ネットで見た例ですが、「帰宅してビールを飲もうと冷蔵庫を開けたところビールがなかったので、妻に『ビールがない』と言ったら激怒された」という夫さん側の『理由もなく妻に怒られた』話がありました。
これだけ読むと、(特に男性にとっては)妻側が圧倒的に理不尽で文字通り理由もなく怒り始めたように受け取れますよね。ところが、この話には続きがありました。他の読者さんからの指摘やコメントから明らかになったこの夫さんのおうちの状況は、こんな感じだったんです。
- フルタイムで共働き、子供2人
- 子供に夕食を食べさせていた妻
- 一方の子供がぐずりだし食べ物もこぼしもうひとりの子供がソソウ
- イライラが伝染して子供が泣き出す
- ここへ夫が帰宅し、冷蔵庫に直行して「ねえ、ビール入ってないんだけど」
- 妻がキレる
……ありがちですねえ。いや、ありがちすぎて苦笑しか出て来ないわ(^Д^)
ここで、女性は思うわけです。「なんで解らないの!?(T-T)」。
で、この続きが男性には驚きでしょうが、女性はこう感じてしまうんです。
- これで解らないって、バカなんじゃないの
- っていうか、人としてアリ?
- 私のことなんてどうでもいいってことよね
- そうでなきゃ、解らないとかって意味解んない
いや、ほんとにこのくらいですよ(^Д^)。あ、「(^Д^)」こんな絵文字を書いている場合じゃないのか。
でも、ここで妻さんが思い出さなきゃいけないのは、「男性にはかなりハッキリ言わないと解らない」ということです。この状況なら「こっちの子、だっこしてあげて」とか「こぼしちゃっている食べ物、雑巾で拭いて」とか「トイレに連れて行ってあげて」…、こんな感じでしょうか。ちなみに「雑巾」って指示しないと台ふきで拭き始めて余計にハラが立ちますよ( ̄∇ ̄)。
男性にはこのくらいハッキリ言わないとダメです。そして、ハッキリ言われると男性はパッと動き始められるようです。
…え? 出来ない? それは大問題だわ。
ここまでなーがなが書いてきましたが、実はここまでが長い前フリ( ̄▽ ̄)で、これから書くことこそ、本題なんですよ。
男女間にはコミュニケーションの方法についてクイチガイがあって、双方とも自分の基準でモノを考えてしまうというお話でしたね。そう、こんなふうに。
- 男性は「ハッキリ言ってくれたらいいのに」
- 女性は「少しくらい察してくれたらいいのに」
…。で、しかも、お互いに
- 男性は察するのが下手
- 女性はハッキリ言うのが下手
でした。
と、こういう状況下でどうしたらいいのか。こういう話をすると、いるんですよね。「オンナがハッキリ言えばいいだけじゃないか」「オトコはもう少し解るべきなのよ」みたいな発言をする方が。
…、うーーーーーーん。ちょっと言いたいなあ。ま、この際だから、ハッキリ(そう、ハッキリ)言わせていただきましょう。
そうやって相手になにかさせようとする態度って、すっごく依存的ですよね。あ、いや、それじゃまだ足りないかな。人生に対してすっっっっごく非自主的ですよね。
「ハッキリ言ってくれたらいいのに」とか「察してくれたらいいのに」って、これの主語は常に「相手」ですよね? つまり、相手が「ハッキリ言うかどうか」「察するかどうか」は相手の問題で、これについてあなた自身はなにもできないですよね。
で、それで相手がなにもしてくれないということもあり得るわけで、その結果あなたの人生が不利益を被るんですよね(▼_▼)
……あの~、バカバカしくないですか? それなら「あなたが」できることをやった方が「速い」し「結果も出せる」んじゃないでしょうか。「あなたが」出来ること、それはこの話の場合、
- 男性は、察する能力を高めること
- 女性は、具体的に指示したりリスト化すること
です。キッパリ。男性は察する力が低いと言われていますが、それは単に教育とスキルの問題だと思います。女性がどんなことをいつやっているのか良く観察したり、あるいはやって欲しいと言われたことの前後の流れをメモっておいたりすれば、いずれ必ず出来るようになります。
それは察するというより流れやマニュアルを覚えたのと変わらないという厳しい意見もあるかもしれませんが、私はそれは察する力の第一歩だと評価すべきだと思います。
他方女性は、感情的な軋轢を乗り越えて具体的に細かく指示することに慣れる必要があります。こうした物言いに感情的な軋轢を感じるのは女性だけで、当の男性は「解りやすい♪」くらいに思ってくれるのです。つまり考えすぎなんですよ。
ちなみに我が家。私はリスト化にすっかり慣れました。リスト化すればするほどオットは協力的になってくれます。リストを見た瞬間に彼の脳内で「カシャカシャ!」と計算と計画が始まるのが見える気がします(^0^)
夫婦に限らず男女の間には、日本海溝よりも深いミゾがあるもの。それを飛び越えるには、まず自分から。相手が飛び越えてくれるのを待っていられるほど、人生は長くありませんよ。
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