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韓国大統領選の結果が鍵。日本にとって最悪のシナリオとは?

先日、米トランプ大統領とロシアのプーチン大統領が緊急会談を行い、北朝鮮の核実験を阻止することで一致しました。さらに、親北朝鮮の立場をとっていた中国との関係も悪化し、それでも核実験を強行しようとする北朝鮮は、まさに「八方塞がり」の状態に。メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さんは、以前の記事に続いて朝鮮半島の今後を予測。津田さんは、韓国の大統領選挙で北朝鮮シンパの文候補が当選した場合、北の状況は大きく変化する可能性があると予想しています。その根拠は何でしょうか? そして、日本にはどのような影響があるのでしょうか?

第2次朝鮮戦争の限定化

先週に続いて、北朝鮮はロシアから石油を供給してもらう交渉を開始したが、その情報を安倍首相はロシアのプーチン大統領から得てトランプに伝え、トランプ・プーチン会談で、どうも石油供給契約を止めたようである。どうなるのであろう?   

0.安全保障の鉄則

戦争はないと騒いでいる政治家や評論家がいるが、安全保障は、最悪の場合を想定する、米国が見ているのは北朝鮮が核実験をして、核ミサイル技術を手に入れて米国を攻撃可能にすることであるが、このような状態なると見て、戦争準備を米国は行っている

米国としては、長距離ミサイル開発を止めることが米国の目的である。短距離のミサイル保持は米国としては、許容範囲である。

もちろん、多くの人命が失われるが、戦争がないとして準備をしないと、戦争時の邦人退避の経路も設定できないことになる。このため、安全保障政策は、常に最悪な状態を想定して、国内外の日本人を救出できる準備しないといけないのだ。

そのような準備ができた上で、戦争にならないような交渉を北朝鮮とすることである。単純に戦争の犠牲者が多いので、戦争はないという政治家や評論家の言葉を真に受けてはいけない。戦争は外交の一手段であることを忘れてはいけない。

トランプ大統領が瀬戸際作戦を行っている理由は、戦争回避を宣言したら、北朝鮮は絶対に核開発を止めない。このため、あくまでも、最終的には戦争を辞さずというしかないし、準備もする。

北朝鮮は、核実験を強行する方向である。中国の核実験したら石油供給停止を非難して、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)で、北朝鮮は「存在と発展」のために核開発プログラムを必要としているため「変更することも揺るがすこともできない」とし、「北朝鮮は中国に対し友好関係を維持するよう懇願することはない」とした。

これを聞いて、トランプ大統領は、金正恩委員長はストロングマンだと評価したようである。トランプ大統領はディール(取引)として、核開発中止を見ていることがわかる。ディールを楽しんでいるようだ。

しかし、トランプ大統領は、米朝トップ会談を外交当局から止められて、直接のディールをできない状態で、中国に丸投げしている。このため、中国に配慮したものの言い方になっている。

1.戦争の限定化か?

北朝鮮は裏で、ロシアと石油供給の交渉をしていたのであるが、米露トップ会談で、ロシアは石油供給しないと決めた。それが、貨客船「万景峰」を使った定期航路の開設延期になる。状況証拠を組み立てると、証拠のつながりで事実が見える。

もう1つ、韓国では北朝鮮シンパの政権が誕生することになりそうであり、韓国人の多大な犠牲を米国は考えなくてもよくなり、かつ米軍将兵の犠牲は避けることになる。文候補は北朝鮮と平和会談をして、米韓安保体制を破棄するから、その候補が勝つということは、韓国が離米親朝になることで、米国から見ると敵になる。

もう1つ、中国政府は、北朝鮮の中国人に「一時帰国」を勧告している。中国は北朝鮮が核実験に踏み切ると読んでいる。その後、中国では制御できなくなる可能性を見始めている証拠である。

このため、北朝鮮は、米韓の情報機関が北朝鮮の最高首脳部を狙った生物・化学テロを企てたと主張しているが、クーデターやテロを企てるのは、米韓ではなくて中国のような気がする。

北朝鮮は、核実験後の石油補給のルートができず、脅しを行うが実行はしないし、少し待つと韓国の政権が北朝鮮シンパになり、石油や金を韓国から手にれることができる可能性も出てきた。

米国は韓国を見捨てるので、北朝鮮は核開発資金を韓国から巻き上げることができ、かつ米軍が韓国からいなくなることになる。二重の意味で、北朝鮮の生存を確かにする

要するに、日米中露などの朝鮮半島周辺諸国が、南北の朝鮮半島両政権に愛想を尽かしているのだ。米国は戦争なり、多くの米国兵士を愛想をつかした韓国を守るために失うことはしない。

北朝鮮の長距離のミサイルや核開発を止めるために、核実験場やミサイル開発のポイントを定期的に巡航ミサイルでつぶせばよいだけである。このため、巡洋艦を派遣して巡航ミサイルを打つだけである。全面戦争にする必要もなく、3隻の空母を派遣しないようだ。

中国も核開発やミサイル開発を止めるための米軍のピンポイントの空爆を容認しているようである。北朝鮮は日本海や東シナ海の米艦船に反撃できないし、韓国に親朝政権ができたら、ソウル攻撃もできない。

北朝鮮ができることは、日本の米軍基地にノドンなどのミサイルを打つことしかない。北朝鮮政府高官が「朝鮮半島で戦争が起きれば、最も大きな被害を受けるのは、まさしく日本だ」と威嚇したが、日本しかターゲットがなくなってしまうことになるからである。

米国と日本は、すでに邦人退避と米軍退避などの準備ができている。韓国の民間空港が閉鎖された場合、在韓米軍が南部まで日米の民間人を陸路で輸送し、海上自衛隊の輸送艦などで釜山プサンから福岡などの西日本まで運ぶことのようである。

というように、韓国の大統領に文候補が勝つと、日米韓朝の関係に大変化が起きて、全面戦争ではなく、米軍のピンポイント攻撃などになり、戦争の規模が小さくなることになる。

というより、北朝鮮の脅威である米軍が朝鮮半島にいなくなり、韓国は、北朝鮮へ貢物を差し出す属国になるので、北朝鮮は米国を攻撃する必要もないし、核開発を真剣にする必要もない。米国も韓国を守る責任がなく、朝鮮半島に介入する必要もなくなる

というように、戦争を構成する大きな条件がなくなることになる。

2.日本の対応

日本は、ミサイル攻撃を受ける立場になり、その攻撃を封鎖するには、敵地攻撃が必要になる。巡航ミサイルなどを用いた報復攻撃ができるような準備や核攻撃を受けたら、核の報復を行うことが必要になる。この準備ができると、北朝鮮もそう簡単に日本を攻撃できなくなる。

北朝鮮は艦船などの通常兵器の質が悪く、日本を本格的に攻撃できないので、在日朝鮮人のテロ攻撃やミサイル攻撃しかできない。

親朝である韓国との関係も一層悪くなり、日米は朝鮮半島の両政府を相手にしないことになる。韓国文政権は貧困な国民の味方であり、企業から多額の税金をむしり取り、財閥企業を締め上げることになり、韓国企業は日米などに逃げる必要になる。

そして、韓国経済は相当に悪化が予測できる。このため、韓国の若者や会社員が大量に日本に移住してくることになる。労働力不足の日本は受け入れることになり、かつ、韓国企業の本社も日本に置くことになるかもしれない。

どちらにしても、韓国の北朝鮮シンパ政権ができると、戦争ではなく紛争レベルになり、日本に韓国から移民が増えることになる。

さあ、どうなりますか?

image by: aminkorea / Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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