距離が大事。「反日大統領」が誕生した韓国との賢い付き合いかた

 

北朝鮮には、懲りずに「太陽政策」?

次に、文新大統領の外交についてみてみましょう。北朝鮮については、「かなり融和的」と見られています。彼は10日の就任演説で、「条件が整えばピョンヤンにも行く!」と宣言しました。

ところで、「北朝鮮融和政策」のことを「太陽政策」といいます。文さんと仲が良かった金大中大統領と廬武鉉大統領が行った。二人が韓国を治めたのは1998年~2008年。つまり、「太陽政策」は、10年間続いた。で、どうだったのでしょうか?

結果は、散々だったのです。北朝鮮は2003年、核拡散防止条約(NPT)から脱退。05年には、「核兵器保有」を宣言。そして、06年には、初めての地下核実験を実施します。つまり、北朝鮮は、韓国が「太陽政策」している間に、核兵器保有国になってしまった

文さんは、廬武鉉の右腕だったので、「失敗した」事実を理解してそうなものですが…。「失敗した政策をまた繰り返す」というのは、愚かです。

米中との関係は?

皆さんご存知のように、韓国はアメリカの軍事同盟国。しかし、アメリカと中国の間を行ったり来たりしています。

廬武鉉さんの後、韓国の大統領になったのは、李明博さん。大統領になって半年後にリーマンショックが起こった。これで、世界的に「アメリカは沈み、中国の時代がくる」という見方がひろがりました。そのため、李さんも、次の朴槿恵さんも、中国をアメリカ並かそれ以上重視するようになった。

特に朴槿恵さんは、露骨に中国に接近していきます。世界中で日本の悪口をいう、いわゆる「告げ口外交」で、中国の「反日統一共同戦線戦略」を支えました(驚愕、反日統一共同戦線戦略とは?→「反日統一共同戦線を呼びかける中国」)。

しかし、朴さん、末期には日本そしてアメリカとの和解に動いた。これは、「中国は、北朝鮮から韓国を守ってくれない」ことを理解したからといわれています。2015年12月28日、慰安婦合意で日本と和解。

2016年1月6日、北朝鮮は、核実験を行いました。2016年7月、韓国は、THAAD配備を決定。これで、中国と韓国の関係は最悪になってしまいます。中国は、「文ならTHAAD配備を見直してくれるのではないか」と期待している。習近平は10日、文さんに祝電を送っています。

習主席、文在寅氏に祝電 「中韓両国は重要な隣国」

朝日新聞デジタル 5/10(水)13:36配信

 

中国の習近平(シーチンピン)国家主席は10日、韓国大統領選で当選した文在寅(ムンジェイン)氏に祝電を送り、「政治的な相互信頼を強めて対立点を適切に処理し、健全で安定した両国関係の発展を推進したい」と呼びかけた。

 

国営新華社通信などが伝えた。朴槿恵(パククネ)前政権で米軍による高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD〈サード〉)の韓国配備をめぐり険悪化した中韓関係の改善への期待感を示した。

要するに習近平は、「THAADを撤去すれば仲良くしてやるぞ!」と言っているのですね。逆に「THAAD配備をそのまま続ければ、関係は悪いまま」。文さんは、米中に挟まれて大変ですが、どういう決断を下すのでしょうか?

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