例えば、違う地方出身の方の言葉に対して「あの人の話し方のイントネーションはおかしい」などと言ったりしますが、実はこの用法、間違っているってご存知でしょうか。無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』の著者・須田將昭さんは、この場合は「アクセント」を使うのが正解と指摘した上で、勘違いしやすいアクセントとイントネーション、この二つの言葉の違いを実例を上げながら紹介しています。
アクセントとイントネーション
先日、Facebookで大学時代の後輩が、SNSのひとつ「LINE」の発音についての疑問を投げかけていました。まずこのような「ある語をどう発音するか」という問題でよく混同されているのが「アクセント」と「イントネーション」という二つの用語です。
どうも「イントネーション」という語の方が多くの人には馴染みがあるのか、「あの人の話し方はイントネーションがおかしい」など、方言のまじった話し方について述べる時によく聞きます。
しかし、おそらくですが、その「おかしい」と感じている多くの場合はアクセントの方です。
イントネーションというのは、文全体の上がり下がりの調子です。質問をする際に、語尾を少しあげて言うようなものです。「雨(アメ)」という語を言う時に下がり調子でいえば、「雨。」という断定的な物言いです。もし上がり調子でいえば「雨?(雨が降ってるの?)」という疑問文になりますね。それがイントネーションです。
アクセントというのは、語ひとつひとつに決められた音の高さの違いです。「決められた」というと「誰が決めたんだ?」という話になりますが、これまた「その社会の中で」という曖昧な言い方になってしまいます。
日本語の場合は、ある音を高く言うか、低く言うかで区別する「高低アクセント」です。音の強弱で区別する「強弱アクセント」の英語と違うので、ついついイントネーションと混同しやすいのかもしれません。
そしてその音の高さは、別に生物学的に何かの必然性があるわけではありません。社会慣習上、みながそう言う…という中で決まってきます。
ですから、例えば「雨」という語は,関東では「ア」の方が高く、「メ」が低くなりますが、関西では逆に「ア」が低く、「メ」が高くなります。逆転しても困りません。それぞれの社会の中でどう伝わるかが了解されていればいいのです。
アクセントは地域によって異なることはよくあります。タイプ的にも、東京を標準とした東京アクセント、京都を標準とする関西アクセント、独特のタイプと言える一型アクセントや無アクセントなど、分かれます。
このように用語としてはややこしく感じるかもしれませんが、イントネーションは文の調子、アクセントは単語ごとに決まっている社会的約束、という感じで区別すれば混同しなくなるかと思います。
アクセントは地域的に違うのは、「社会的慣習」ですので、ある意味当然のことですが、イントネーションはもっと枠組みとして大きいもので、その言語全体で了解の度合いが共通しているように思います。
「雨。」と「雨?」という二つの違いを読んでもらったら、アクセントの違いはあっても、「。」の方が下がり調子で、「?」となっていれば上がり調子で読むのが普通でしょう。
言語の音というのはとても面白い分野なのですが、今日のところはまずは二つの言葉についてご説明しました。
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