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日本を息苦しくしている、正義を振りかざして他人を痛めつける人たち

リサイクル、クールビズ、そして禁煙…日本人は何かにつけルールを作って取り締まるのが好きですよね。「正義感が強いから」「真面目だから」という反論も聞こえてきそうですが、メルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』の著者で中部大学教授・武田邦彦先生は、「他人の自由を制限は、ヒトラーの危険思想にも通ずる」と、厳しく言及しています。

人間の心の奥底に潜む「他人を痛めつけたい」という感情

人間の心の中には、理屈では説明できないほど、「他人を痛めつけたいという気持ちがあるものです。歴史的にはそれが異常な形になって表れることが多いのですが、現代でもかなり多く見られます。

その典型的なものが、1)分別・リサイクル、2)クールビズ、それに 3)タバコの追放、でしょう。それぞれ環境や健康に何の影響もないのに、単に他人に負担をかけたり好きなものを止めさせる快感を味わっている現象と思います。

まず、「分別・リサイクル」ですが、人間が使うもので「繰り返し使った方が環境に良い」というものがあります。くず鉄、アルミ、紙のうち5分の1ぐらいのもの、それにまだ使える家電製品などです。それ以外のものは「回収してリサイクルする方が資源を余計に使う」ので、かえって環境を汚します

この理屈はきわめて簡単で、「東京湾はいつも油が浮いている」というのと、「その油を回収して使えば資源のムダ使いを無くすことができる」というのは違うからです。東京湾の海水の上に浮いている油は極めて少ないので、回収に使う船の燃料の方が何万倍も多いからです。つまり、1リットルの燃料油を使って1ccの汚い油を回収することに意味が無いことは誰の目で見ても明らかです。

たとえばペットボトルのように一見して回収できそうなものも、リサイクルすると石油から新しくペットボトルを1本作るより7〜8倍の石油を使いますから、意味が無いのです。これは拡散エントロピーの理論でも計算できますし、実際の消費量を調査してもほぼ同じ結果が得られます。現代の資源学は、そのぐらいの計算はできるのです。

まったく意味が無いというより、環境を悪化させるために分別を強要するという反社会的なことが大手を振って行われているのは良いことではありません。

クールビズも同じで、ネクタイをするかしないかは個人の服装の自由に関することで、政治や社会が規制するものではありません。ネクタイをすると涼しいというのは、環境省が呼び掛けたあと、後付けで早稲田大学に研究費を出し、ネクタイを外すと涼しくなるという結果を出したりしています。また提唱者の当時の小池百合子元環境大臣(現東京都知事)は、女性でもあるのでいつも「スカーフ」をしています。他人にネクタイを外せと言って自分はスタイルのために長いスカーフをしているなど、他人をいじめること以外の何物でもないでしょう。

禁煙運動は「他人の自由を束縛して楽しむ」という危険思想ではないか

次にタバコの追放です。タバコは戦後、「専売公社」という準政府的機関が販売していて、多くの日本人がタバコをする「クセ」がつきました。それが途中でタバコと肺がんの関係が指定され、急に「タバコ追放」になりました。ところが喫煙率が低下しても肺がんが増え続けているので、今度は「副流煙の害」を出してきましたが、今の日本社会で「たばこ臭い場所」など現実には存在しません。

それでも、1)間違ったことを繰り返し報道して洗脳する、2)社会的悪者をつくって非難する、3)ジワジワと追放する、という手段で人生の途中までタバコを吸う習慣を付けさせて、それを潰すという悪どい方法がとられています。

もちろん、希薄な副流煙が人体に害にならないのは科学的にも十分に証明されていますし、副流煙の被害があるはずの女性の肺がんは、男性がタバコを吸っていた時代の20倍にもなっています。

一言で言えば、スケープゴートを作り他人の自由を束縛して楽しんでいるのであって極めて危険です。地球温暖化でも、世界的な指導者が「環境問題は私の宗教だ」とか「温暖化問題をきっかけとして資本主義を潰す」などと言っていて、本音が垣間見えます。

日本国憲法は国民が一人一人、自分の人生と幸福を選択できるようになっていますし、多様化の時代、個性の時代とされながら、現実には「イジメに似た他人の自由の制限の時代でもあります。

 

image by: Shutterstock

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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