例えばスポーツ店であってもアパレルショップであっても、いわゆる有名ブランドを扱うほうが売れ行きは見込めるように思いがちです。しかし無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者で現役コンサルタントの梅本泰則さんは、敢えて小さなメーカーの商品を扱うことをお勧めしています。その根拠はどこにあるのでしょうか。そしてそこに勝算は?
小さなメーカーが店を救う
以前、まったく業界経験のない方のスポーツショップ立ち上げをお手伝いしたことがあります。その時、なんといってもまず困ったのは商品の仕入れ先を探すことでした。
有名ブランドを扱いたいと思うのは自然のことです。しかし、そうはうまく行きません。メーカーさんに掛け合っても、門前払いをされます。中間の問屋さんにお願いしても、取引をしてくれません。
困り果てた彼は、やむなく、それほど有名ではないいくつものメーカーさんのドアを叩きました。ご自分にはビジネスへの思いがありますから、その思いを懸命に訴えていきます。それでも、断られ続けます。しかし、あきらめずに粘り強く取引先を探し続けると、少しづつその思いに共感をしてくれるメーカーさんが現れてきました。
すると、3か月後、何とかお店で売ることのできる商品が集まったのです。めでたく、無事にオープンが出来ました。そればかりでなく、もっと素晴らしいことが起こったではありませんか。全国を駆けずり回って集めた商品は、またたく間に売れてしまいます。素晴らしいですね。
いえ、今回は、このお店のことをお話ししようというのではありません。このお店がとった行動に、あなたのお店の商売のヒントが隠されていることをお伝えしたいのです。
小さなメーカーの商品が売れる
今まで何度もお話をしていますが、全国のスポーツショップを見てみますとどのお店も同じような感じを受けます。それは、どのお店も大体同じようなブランドを扱っているからです。それも、大手メーカーさんのものばかりが目立ちます。どうして、そうなっているかと言えば、有名ブランドの方が売りやすいからです。
メーカーさんは、自社ブランドの商品を売るために、広告宣伝をします。そして、主なプロモーションは、有名チームや選手との契約です。そのために多額の費用を投入しますから、ブランドや商品の知名度があがります。その結果、売場では、大した説明をしなくても売れていくのです。自然と、どのお店も同じような商品になってしまいます。これでは、他のお店との差別化は図りにくいですよね。
ところが、先にご紹介したお店はどうでしょう。やむなくとはいえ、他のお店では売っていない商品で勝負をしました。しかし、それでもよく売れます。なぜなら、仕入れた商品は、店主の目にかなったものばかりだからです。商品ごとに、仕入れた理由があります。決して「有名ブランドだから」とか、「有名選手が使っているから」とか、「他でもよく売れているから」という理由ではありません。
しかも、小さなメーカーさんの商品ばかりです。そうです。実は、この「小さなメーカーさん」の商品ということが、あなたのお店にとっても、大きなヒントになります。
小さなメーカーさんを探す
もちろん、業界には小さなメーカーさんがたくさんあります。その小さなメーカーさんは、営業マンが少ないですから全国に足を運べません。そのため、大手の問屋さんに扱ってもらおうと売り込みますがなかなか取引には至りません。
ここが、地域のスポーツショップにとっては一つのチャンスです。売上を伸ばそうと思っている小さなメーカーさんを見つけて直接取引をしてはいかがでしょう。問屋さんを通しませんから、利益率が大きいです。そして、小さなメーカーさんは、自社の商品を売ってくれるお店のために一生懸命になってくれます。これが、他のお店との競争に勝つ一つの方法です。
もちろん、売場の全部を小さなメーカーさんの商品にする必要はありません。全体の3割くらいを、小さなメーカーさんの商品でそろえてはいかがでしょう。お店のコンセプトに沿った商品であることは言うまでもありません。
では、どうやってそうした商品やメーカーさんを探すのでしょう。いくつか、方法は考えられます。
一つは、東京ビッグサイトなどで行われる、各種総合展示会に足を運ぶことです。スポーツ関係の展示会はもとより、健康、フィットネス、ファッション、シューズなどの展示会が狙い目でしょう。きっと、あなたの知らないメーカーや商品が見つかります。
また、大手百貨店のスポーツ売場を歩いてみると、結構そこは小さなメーカーの宝庫です。スポーツ専門雑誌も大きな情報源になります。街の商店街やSCに入っているお店で見つかることも。
要は、自分のアンテナを張っておくことです。そうすれば、他の店で扱っていない、わくわくするような商品が手に入ります。きっと小さなメーカーさんの商品は、あなたのお店の戦力となるでしょう。
■今日のツボ■
- 小さなメーカーさんの商品も、集め方次第でよく売れる。
- 小さなメーカーさんとは、直取引をすることである。
- 小さなメーカーさんは、東京の各種総合展示会などで見つける。
image by: Vereshchagin Dmitry / Shutterstock.com