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【書評】中国から影響を受け、「中華」を殺して成長した国・日本

日本のお隣の国といえば、中国・韓国・北朝鮮。この3つの国は、なぜ日本とうまくいかないことが多いのでしょうか。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが紹介しているのは、中国出身で2007年に日本国籍を取得した評論家・石平(せきへい)さんの著書。日本が近代文明を手に入れられたのは、うまく「中華」文明を取捨選択したから? 一体どういうことなのでしょうか?

なぜ中韓はいつまでも日本のようになれないのか
石平・著 KADOKAWA

石平『なぜ中韓はいつまでも日本のようになれないのか』を読んだ。副題は「わが国だけが近代文明を手にいれた歴史の必然」。東アジアの近隣同士なのに、中国は現在でも専制独裁の前近代的国家のままである。韓国・北朝鮮は到底一人前の近代文明国家とは呼べない。これが事実である。

「どうして日本だけが近代化に成功し、中国も朝鮮も失敗したのかという大問題を、それぞれの国々の歴史と伝統を手がかりにして、文明史の視点から解き明かしていく」という前人未踏の大仕事を成し遂げたのは、誰よりも中国を知る人・石平、中国四川省西都市出身、2007年に日本国籍を取得した評論家だ。

日本の近代化と中国・朝鮮半島の近代化とでは、どこが決定的に異なるのか。日本の近代化は江戸時代に始まり、猛烈に西欧に学んだ明治時代で完成した。中国・朝鮮は近代化を頑なに拒み、西欧に学ばなかった。国家の上層部が中華思想の虜となって、西欧文明を無視するか、強烈な拒絶反応を示したからだ。

中国の政治システムの基本は、絶対主権者としての皇帝、皇帝の手足となって土地と人民を支配する官僚、官僚を選抜する科挙制度という三点セットであった。これを正当化するイデオロギーとなるのは、儒教とその発展形である朱子学である。このシステムをまるごと導入したのは、高麗時代以来の朝鮮半島だ。

この一元化構造は官僚層による凄まじい汚職、腐敗をもたらす。彼らの民間に対する徹底的な収奪の伝統はいまも健在である。官僚の知識と教養の中核となる「四書五教」62万字は、産業化・近代化を生む土壌としての「科学の精神」が入り込む余地がない。なぜなら「論理的思考」と「実証的考察」が殆どないからだ。

中国と朝鮮は、結局「中華文明の毒素」によって、未来への可能性を殺されたということになる。日本も中華文明から多大な影響を受けたが、慎重な取捨選択を行ない、主体的かつ賢明な判断をした。その結果、明治時代において、日本はこのアジアでいち早く西欧と肩を並べる近代文明国家になったのだ。

結局、「中華」を殺したことで近代への道を切り開いたのが日本であり、「中華」というものに「自家中毒」して、アジアにおける近代化の失敗国家となったのが中国と朝鮮であったのだ。そしていまに至るまで、それが変わらない「東アジア」の現実なのである。

永遠に日本のようにはなれないだろう。

21世紀になってからも、中国共産党政権は、先進国の資金や技術は何の躊躇もなく貪欲に吸収する一方、西洋文明の核心部分となる自由や民主の価値観を頑なに拒否する姿勢を貫いている。この国の「近代文明国家の建設」は、夢のまた夢なのである。

朝鮮半島も同様であり、もはや捨て置くしかないだろう。

日本のご先祖様はなんという賢明な選択をされたのだ。養分は吸収し、毒素は容赦なく捨て去る「中華殺し」の文明づくりという、いままで聞いたことのなかった歴史解釈には心底から感動した。内容は副題の通りである。誇るべき日本、日本人に生まれて本当によかった。歴史書に涙するとは初めてであった。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock

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