トランプ政権、終了か。「ロシア・ゲート」が深刻な3つの理由

 

1つは、そのベセルニツカヤ氏との面談。「アメリカによるロシアの子供の養子縁組をプーチン政権が禁止している」という「養子縁組」の問題ばかりがアメリカでは話題になったそうです。

しかし、仮にこれが事実だとしても、そこには深刻な問題があります。というのは、ロシアからアメリカへの養子縁組をロシアが禁止しているのは、アメリカによるロシアの人権弾圧者への制裁の根拠となっている「マグニツキー法への報復として行われているものだからです。

この「マグニツキー法」というのはロシアの人権活動家で、政府高官の腐敗を暴いたセルゲイ・マグニツキーという弁護士の名前から来ています。そのマギニツキーが2009年に獄死した際に「殴打等をして殺害に関わった」とされる高官を「名指し」しながら、資産凍結や米国への入国禁止を規定した法律となります。

そしてナタリア・ベセルニツカヤ氏は、オバマ政権当時にアメリカの議会が与野党超党派でこの「マグニツキー法」を成立させようとしていた際に、成立を阻止するためのロビー活動を行っていた人物。「養子縁組問題」を取り上げたというのは、要するに「マグニツキー法を停止せよという圧力をかけてきたという理解が可能です。

更に、この会談には、ロシアの諜報機関に関係した大物も同席していたという情報があり、何から何まで怪しさ満点という感じになってきました。この人物というのは、リナット・アーメツシンという「ロシア系アメリカ人」で、ソ連時代からソ連側からの「防諜活動」に関与しており、ソ連崩壊後はワシントンで20年にわたって「ロビイスト」をしていた大物だというのです。

要するに、何も知らないドン・ジュニアが軽率にもロシアのスパイ」、それも大物のスパイと不用意に会っていた、それどころか「トランプタワー」に招き入れて、密談をしていたというわけです。

第2の問題は、その際に同席していたというポール・マナフォートという、当時はトランプ陣営の選対本部長だった人物の存在です。マナフォートは、レーガンやブッシュ(パパ)の選挙戦に参加していたという大物の「選挙参謀」ですが、その活動範囲は国際的で「ウクライナの親露勢力の顧問をしていたこともあるというのです。

その際にロシアから巨額なカネが流れていたという疑惑があり、現在は、FBI並びに特別検察官の捜査対象になっている人物です。また、トランプ陣営からマナフォートへのカネの流れも法外であるそうで、いずれにしてもマナフォートが、この2016年6月の会談にどのように関与していたのかも大変に気になります。

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