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あなたの会社の社長は大丈夫?企業を繁栄させる経営者の共通点

大きな未来を夢見て起業する経営者は星の数ほどいますが、実際に成功をつかむことができるのはほんの一握り…。その明暗を分ける要素は一体何なのでしょうか。今回の無料メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』では著者の浅井良一さんが、松下幸之助、本田宗一郎両氏のエピソードを引きながら、「成功する経営者に不可欠な条件」について考察しています。

経営者の仕事

多くの有能であるとする経営者が、事業規模が大きくなったとたんに「経営の袋小路にはまってしまうことが多くあります。また技術系で有能な専門家が、管理職になったとたんに凡庸な能力しか示さなくなることも多々見受けられることです。そのことは、能力は偏在してその場その時で異なることを示しています。

人にはそれぞれの好みがあり、またその得意とする能力も異なります。すべての能力を兼ね備えた人などおらず、またいたとしたらその人には傑出した能力はないということにもなります。長所は短所になり逆に短所は長所になり得るということです。ここで言いたいのは、経営者には独自の能力が求められるということです。ただ、慰めは悟って覚悟を決めて磨けば身につけることは可能です。

ところで企業の繁栄は経営者その人の能力によって全てが決まると言っても過言ではなく、そうしたらそんな能力を持った経営者っているのとかいうことになるのですが、それは結論から言うと多くいます。ただし、松下幸之助さんがなすべきことをなす勇気と人の声に私心なく耳を傾ける謙虚さがあれば、知恵はこんこんと湧き出てくる」「人の長所が多く目につく人は、幸せである」と言われているような、そんな類の能力です。

企業規模が小さい間は、経営者個人の技能スキルの良し悪しが業績の良し悪しを大きく左右させます。例えば、フレンチレストランのオーナーシェフの調理の腕が良ければ、少々気難しくともそれが通ぶる人に受けてブランドともなり繁盛します。しかし、そのレストランの支店を出そうとするならば事は異なり、弟子の料理人を育てる能力もマネジメントの補佐役も求められます。

よく中小企業の経営者で勘違いされるのは、技能スキルさえ秀でていればすべての企業経営もうまく行くという成功の「思い込み」です。得意先の要望に応えて喜んでもらえて注文がドッと増え、そこで人手が足りないからというので従業員をドッと雇用します。仕事をこなす能力が秀でているので、何事もうまく行くと考えての前向きな行動ですが、これが往々にして裏目に出ることがあります。顧客や得意先に喜んでもらえたのは、経営者個人のスキルだけだからです。

こんな事例はあちこちで見られるものですが、これは「習熟神話」とよばれるもので、ある事象がうまくいくとすべて事象がうまく行くという思い込み」です。解決策は強みの源泉をよく理解して拡大しないことか、または新たな段階に入ったので人の強みを引き出し支援に焦点を定めることです。

本田宗一郎さんも、この陥穽に落ち込みそうになったなった経緯があります。それは新しい車種を空冷で行くか水冷にするかの技術レベルの問題でした。その時、本田さんは自身の技術者の経験と自負により自信をもって空冷で行こうとしたのですが、若手技術者はこぞって水冷を主張し出社拒否する事態にまで発展してしまいました。

どちらも技術者としての意地がありますが、問題は「経営者としては何を重視して意思決定しなければいけないかということです。その時に若手技術者に助けを求められた副社長の藤沢さんが「貴方は技術者なのか? それとも社長なのか?」を問われて若手技術者が主張する「水冷」で行くことに決まりました。後に、藤沢さんは「本田であれば、空冷でも行けただろう。やらしてやりたかった」と言われていたそうですが。

「経営の神様」と呼ばれる松下さんは、事業始めは「二股ソケット」「自転車用電池ランプ」の発明で事業を拡大して行きました。それがさらなる「アイロン」や「ラジオ」へと事業拡大をはかるについては「経営者」そのものの立場で、専門家を叱咤激励する立場に専心しています。

経営名人は現実を合理的に知悉して、考えて考えた末に知恵である「経営のコツ」をつかみとります。経営は「小さな己の才覚」を発揮するのでなく、多くの人がよろこんで己の才覚を発揮させるようにする大きな才覚を発揮することです。

さらに、松下さんは「好況よし、不況なお良し」と言われています。「不況」をいつも活用して、一回り大きな強い企業に作り替えて行きました。ここで面白いのは必至の瀬戸際のときに血の小便が出るほど考えるのですが、決して悲観しないことで「謂れのない自信」を持たれています。稲盛さんも、同じようなことを言われていたように思います。

マキャベリが言うには、「幸運の女神には後ろ髪は無く積極果敢な行動をとる人間に味方する」そうです。こうと思ったらとにかくやってみる、何もしなのが一番の悪化をもたらすことなので、それでも具合が悪かったらすぐにやり直す。ここでとにかく行動を起こすことが「経営のコツ」をつかめるかどうかの経営者としての正念場になるのだそうです。

image by: Shutterstock.com

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戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。

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【著者】 浅井良一 【発行周期】 ほぼ週刊

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