文科省「いじめ相談にSNSを活用」会議で飛び交う大人の言い訳

 

協議会では、「保護者の相談を受けると何らかの回答をださないといけなくなる。保護者については今後の検討ということにしたい」という趣旨の意見も出ておりました。

「いじめ相談」は解決するために行なわなければなりません。過激に聞こえるかもしれませんが、「解決策を提示できなければ意味がない」のです。保護者だけでなく、子供たちも「いじめ」を相談するのは、「聞いてもらいたい」から相談するわけではありません。「解決してほしい」のです。

「解決してくれない相談機関」は必要ありません。お金の無駄遣いと言っても過言ではないと思います。「解決することを前提に、子供たちをがっかりさせない体制を構築していただきたいものです。

また、議論の1つとして、「子供たちのスマホ、携帯には、相談員がどのように対応したか痕跡を残さないようにしたい」との意見もありました。一方「あとで読み返すためには、やり取りを残してあげるべきだ」という意見も出ていましたが、今回の中間報告を読む限り、「チャットのようにリアルタイムでやり取りをすれば、運営側だけがデータを取れる」という方向で調整が進んでいるように読めます。加えて「制限時間内に応答がなければ打ち切る」とか、「定時になったら強制終了するのはどうか」との意見も採用されてしまいそうです。この意見からは、「その場かぎりの対応しかしないしできない」という姿勢が見て取れます。これでは、ほとんどのいじめは解決できません。

子供たちからの相談は、「死にたい」、「いじめられている。学校行かなくてもいい?」、「もうやだ」とか、そんな一行だけの言葉から始まります。その子の心を開き、信用してもらうためには、何十回ものやりとりが必要です。何日もかかることもよくあります。しかも、第一声に対しての返信を失敗したら、二度と連絡がとれなくなります。ひとつひとつを丁寧にやり取りして、徐々に実態が分かってくる。そこから解決策を模索してゆくものなのです。また、子供たちだって、ご飯も食べます、お風呂の時間もあります。宿題もあります。チャットしている間だけで相談が終わるわけがありません。

解決するために必要な相談員側の姿勢としては、「解決するまでその子とやり取りを続ける」という覚悟が必要です。同じ相談員が、繰り返し繰り返しやり取りして、やっと名前が聞ける、学校が分かる、いじめている子がわかる。そんなものなのです。

私自身、1人の子とのやり取りでだけ、1ヶ月に、携帯のメールの上限の1,000件を超えてしまうこともあります。1時間程度のチャットで終わりにしようなどと考えているようでしたら、甘すぎるのです。本気でいじめを減らそうというならば、本気の相談体制を模索しなければなりません。

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