まるでSF。なぜアディダス社の最新工場は「革命」と呼ばれるのか

 

■オーダーメイドのシューズ

なぜそれが「革命」なのでしょう。

今、「KiBERA(キビラ)」という新興ブランドの婦人靴が評判になっています。セミオーダーの靴で、左右別々のサイズで注文できるそうです。しかも、価格は9,900円。安いですね。

人間の足のサイズは、左右同じとは限りません。ですから、市販のシューズを買ってきても、両足がピッタリすることはまず無いです。そのため、スポーツショップでも、インソールを加工して足に合わせるというサービスを提供しているお店もあります。

とはいえ、「KiBERA」のように、左右別々のサイズで売ってくれることはありません。それを、とうとうアディダスは実現してしまいます。それも、足にピッタリさせるだけでなく、形や重心までも一人一人変えられるようになりそうです。

しかも、デザインから完成までに数日というのは驚き以外の何物でもありません。今のシューズの製法では、最低でも1年はかかるからです。それに、工場の生産ラインを効率よく動かすとなればおそらく1デザイン1,000足以上を作る必要があります。それを「スピードファクトリー」は、一足から生産できるのです。

実に時代の変化が速いことを思い知らされます。かつて、米国の未来学者アルビン・トフラーは「富の未来」でこう予言しました。

知識工作機器の性能が高まり、SF映画でしか話題にならない荒唐無稽な技術が荒唐無稽ではなくなる。

つまり、SF映画に登場する立体映像やバーチャルリアリティー、空飛ぶ自動車、人間型通訳ロボット、ロボット医師などのことを言っています。これらは、まさに「インダストリー4.0」の世界です。3Dプリンターによる製造も、その一つに数えられます。

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