それ、知らない。年金未納の人が被るイタいデメリットとは?

 

じゃあ、ついでに一つザックリ事例を。

1.昭和52年(1977年)8月23日生まれの男性(今40歳)

同い年の40歳の妻有り。15歳の子が1人。この男性の年金記録は、20歳になる平成9年(1997年)8月から平成12年8月までの37ヶ月は国民年金保険料納付済み。平成12年9月から平成23年10月までの134ヶ月は国民年金保険料未納だった。平成23年11月から平成28年12月までの62ヶ月は国民年金保険料全額免除。平成29年1月からは厚生年金加入。

厚生年金加入中に体調に異変を感じ平成29年11月5日に初めて病院に行って、B型慢性肝炎の治療が開始された(しかし後に肝硬変となる←初診日からまだ1年6ヶ月経ってないものとします)。平成30年1月に退職(厚生年金期間は退職月の前月まで12ヶ月で、給与と賞与の合計の平均は300,000円だった)。

障害年金を請求するという選択肢が出てきますが、まず障害年金は原則として初診日から1年6ヶ月経過しないと請求が出来ませんが、平成29年11月5日の初診日から1年6ヶ月経過した平成31年5月5日(この日を障害認定日という)になったので請求に踏み切る(結果は障害等級2級だったとします)。

まず、初診日に加入していた年金制度は厚生年金だから障害厚生年金が支給対象となる。で、次は初診日前の年金保険料納付状況を見る。初診日の前々月までの3分の2以上(66.6%以上)を見ると、保険料納付と免除期間合計が108ヶ月÷242ヶ月=44.6%しかないからコレだと障害年金請求不可。しかし、初診日の前々月までの直近1年間(平成28年10月から平成29年9月まで)は未納が無いから請求ができる

よって、障害厚生年金2級→(300,000円÷1000×5.481×12ヶ月)÷12ヶ月×300ヶ月=493,290円。

※注意

この男性は12ヶ月しか厚生年金加入してませんが、300ヶ月というのは障害厚生年金の最低保障。また、65歳未満の生計維持している配偶者がいるから配偶者加給年金224,300円が障害厚生年金に加算。

2級以上だから更に障害基礎年金779,300円(平成29年度定額)が加算。18歳年度末未満の子が居るから、障害基礎年金に子の加算金224,300円が加算。

よって障害年金総額は、障害厚生年金2級493,290円+配偶者加給年金224,300円+障害基礎年金2級779,300円+子の加算金224,300円=1,721,190円(月額143,432円)。なお、支払いは初診日から1年6ヶ月経過した日の属する月の翌月である平成31年6月分からとなる(初回支払いは平成31年8月15日)。

障害年金支給開始後は、1〜5年間隔で診断書を出して、引き続き障害年金を支給する程度なのかを見る。傷病によっては、もうこれ以上治る見込みがないと認定されると一生障害年金が支給される場合もあります

※追記

障害や死亡というのは誰にもわからない不測の事態ですが、老齢になっていつまで長生きするのかという事態も誰にもわからない。

長生きするとそれだけ、体の衰えとともに所得が得られにくくなるという事にもなるから、あらかじめ若い頃に年金保険料を納めて「老齢という保険事故に備えて年金が貰えるように保険料を納めて保険をかけているわけです。

よく公的年金の損得勘定の話が盛んになりましたが、損得は結果的なものであり、年金保険料を納めても元が取れる前に死んだら損じゃないか! とかいう話は不適切

また、今の年金制度は現役世代の保険料をそのままその年の受給者に年金として送る賦課方式を取っていて、国民年金保険料は平成31年4月に17,000円×保険料改定率で固定、平成29年9月で厚生年金保険料上限を18.3%で固定(共済はまだ後に固定)してその毎年入ってくる保険料収入の中から年金給付をやるから年金が貰えなくなるという事は無いし破綻もしない

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