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北朝鮮有事で試される覚悟。トランプが安倍首相に突きつけた要求

先日行われた日米電話会談で、安倍首相に「対話にこだわる韓国に、北朝鮮に軍事圧力が必要であることを伝えて欲しい」と要求したトランプ大統領。さらに、「北朝鮮有事の際、アメリカが攻撃されたら日本がアメリカを守るべき」と、集団的自衛権行使を求める発言をしました。この会談の模様と安倍首相の返答について、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係研究者の北野幸伯さんが詳しく記しています。

トランプ、安倍総理に超重大要求

世界最大の問題は、相変わらず北朝鮮です。日本、アメリカ、韓国は、同じ側にいる。しかし、トランプさんと韓国・文大統領はうまくいっていないようです。なぜ? 9月7日、FNNを見てみましょう。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領をめぐり、先日行われた日米電話首脳会談で、アメリカのトランプ大統領が厳しい言葉で不満をあらわにしている様子が、FNNの取材で明らかになった。

トランプさんが、文さんについて「不満をあらわにしている」そうです。なぜ?

北朝鮮の中距離弾道ミサイルが日本の上空を通過した8月29日の日米電話会談で、トランプ大統領は、北朝鮮との対話にこだわる韓国について、「物乞いのようだ」と痛烈に批判した。
(同上)

トランプさんは、韓国を「物乞いのようだ」と批判した。理由は、文さんが「北朝鮮との対話にこだわっているから。

ま、文さんの気持ちもわかります。朝鮮半島で戦争が起これば、真っ先に攻撃されるのはソウルです。「最低100万人が死ぬ」と言われてる。「最低」ですから、実際は200万、300万と亡くなるかもしれない。文さんが、「何としても戦争を回避しなければ!」「対話で解決しなければ!」と考えるのは、当然でしょう。

で、トランプさんはどうしたか? なんと、安倍さんと電話で話した。

そのうえでトランプ大統領は、軍事的圧力の必要性について、「誰かが伝えなければならない」と語り、安倍首相は、いわば、その意を受けた形で日韓電話会談に臨み、その後に再び日米電話会談が行われている。
(同上)

安倍総理は、トランプさんに頼まれて、文さんに「今は、対話でなく軍事的圧力が必要ですよ!」と伝えた。そして、再びトランプさんと電話で話し。「文さんに、『対話ではなく軍事的圧力が必要ですよ』と伝えました!」と報告した。

トランプの重大要求

しかし、重要なのは、この後です。

一方、9月3日、核実験のあとに行われた日米電話会談では、トランプ大統領が「自分は100%晋三とともにある」とした一方で…
(同上)

問題です。この後、トランプさんは、安倍さんになんと言ったでしょうか? 答えを紙に書いてから、つづきをお読みください。

「もし、アメリカが攻撃されたら、日本は、われわれを助けなければいけない」と相互の同盟関係を求め…
(同上)

アメリカが攻撃されたら日本はわれわれを助けなければならない」と言った。これは、「集団的自衛権の行使」を求めているのです。安倍総理は、なんと答えたのでしょうか? 答えを紙に書いてから、つづきをお読みください。

これに対し安倍首相が、「100%アメリカとともにある」と応じる一幕もあった。
(同上)

100%アメリカとともにある」というのは、「日本はアメリカを守るために戦う」ということでしょう。他の解釈は考えられません。皆さん、これについて、どう思われますか???

日本の覚悟が試される

私たち、特に大人には、さまざまな義務があります。私たちは、約束を守り、義務を果たして暮らしている。

この世の中には、「危険」な仕事もあります。たとえば警察官や消防士。もしあなたの町で、凶悪殺人犯が立てこもったらどうでしょうか? 警察官は、「危ないから、俺行かない」とは言えません。いえ、言えますが、上司、同僚、部下からの尊敬を失い、クビになっても文句はいえません。そういうときは、命の危険を承知で行かなければならない。消防士の方もそうですね。大火事が起こっているときに、「焼け死ぬかもしれないから、俺は待機している」とは言えません。危険を承知で、消化にあたるのが当然です。

さて、日本とアメリカは軍事同盟関係にあります。アメリカは、日本が攻撃されたら、守る義務がある。しかし、アメリカが攻撃されても、日本は何もしなくてもよかった。ところが、集団自衛権行使を容認することにしたので、日本はアメリカを助けることができるようになった。だから、アメリカが攻撃されたら日本は全力で助けなければならないのです。もし助けなければ、日本が攻撃されたときアメリカは日本を助けないでしょう。

北朝鮮が、アメリカではなくまず日本を攻撃したら? アメリカ抜きで、核兵器を持つ北と戦うことはできません。また、中国は、喜々として尖閣を奪い、日本の抵抗が弱ければ沖縄も狙ってくるに違いありません。朝鮮戦争が起こるというのはそういうことです。

自衛隊で犠牲者が出るかもしれない。北朝鮮からミサイルが飛んできて、犠牲者がでるかもしれない(核ミサイルでなければいいですが…)。私たちは、そんな時代に生きている。パニくる必要はありませんが覚悟は必要です。

image by: 首相官邸

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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