トランプ大統領、米国で人気の高いNFLを敵に回して崖っぷちか

 

今回、トランプ大統領がやっているのは、とにかく、このNFLファミリーのほぼ全体を敵に回す行為と言えます。直接的には、試合前の国歌演奏で人種差別への抗議、特に白人警官による黒人男性の一方的な射殺行為への抗議として、「国歌が流れると膝をつく」という行動に対する非難です。

この秋のNFLのシーズン開幕に当たって、考えてみれば色々な兆候がありました。特に9月15日頃には、巨大スポーツ局のESPNのキャスターが「トランプは白人至上主義者」と言った件で激しく抗議、ESPN全社とそのNFL中継番組に関して激しい言葉で中傷したという事件がありました。

そんな中で、22日(金)には、アラバマ州へ行ってファンを集めた集会を開催、そこで「暴言モード」の歯止めが効かなくなって「国歌演奏中に抗議するやつはオーナーがクビにしろ」と叫んだばかりか、自分がやっていた往年のTV番組を思い出したのか「お前はクビだ」という決め台詞まで絶叫してしまったのでした。

しかも、子どもにはとても聞かせられない「SOB」なる侮蔑語まで突っ込むという「炎上への燃料大量投下」になっていたのです。しかも、衝動的にやったのではないということを見せつけるように、アラバマ演説とほぼ同じ内容のツイートまでやっています。

トランプの暴言は徹底していて、「ファンは観戦をボイコットせよ」とか、抗議行動に対して「ブーイングした人間は正しい」、あるいは「これでNFL中継の視聴率が下がればいい気味だ」というビジネス面での挑発までやっています。

そんな中、24日の日曜日は昼から夜までに多くの試合が行われたのですが、その中で多くのチームが団結して抗議行動を行いました。ここ数年続けられている英国での公式戦(メジャーの公式戦を東京ドームでやるような引っ越し興行)でも、ジャガーズとレイブンズの両チームの多くの選手が膝をついて抗議をしています。

ナッシュビルでシーホークスを迎えたタイタンズの試合では、両チームが国歌演奏の際にロッカールームに留まって抗議をしましたし、現在の全国区人気をチームであるニューイングランド・ペイトリオッツでも、ホームゲームで多くの選手が膝をついています

ちなみに、一部のチームでは黒人選手を中心に抗議の主体になる選手は「国歌の際に膝をつく」一方で、「膝をついている選手に連帯して、彼らを擁護する」という意味合いでは、腕を組んでつながるという抗議も行われています。

大きな衝撃を与えたのは、現在では球界最高の選手という評価のあるペイトリオッツのQBトム・ブレイディが、この「腕組み」に加わっていたということです。ブレイディは比較的トランプとは良好な関係を保ってきたはずですが、ここへ来て「ファミリーの結束」を選んだということです。

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