ニュースでよく取り上げられるシンガポールは機を捉えたと考えた2005年にIR導入を決断し、2010年には施設の開業に持ち込んでいます。
大変スピード感があります。
しかし日本の場合、国民感情も踏まえ、反対意見がある程度出るのは仕方のないことだと考えています。
確かにギャンブル依存症などの「ソーシャルコスト」に対して慎重論が出てくるのは、カジノ業界人として真摯に受け止めなければなりません。
しかし、今までに何度も発言をしていますが…、反対を唱える方々は、IR法案に対して実現可能な「代替案」を用意して頂かなければ、実際にはほとんど議論にも発展していないと言わざるを得ないわけです。
日本が、何年にも渡りこの案件を先送りにしてしまった間に隣国やフィリピン、ベトナムなどの新興国は、既にIRを導入したくさんの観光客を誘致しています。
日本政府観光局のプレスリリースによると
2014年の訪日外客数は前年比29.4%増の1,341万4,000人となり、これまで過去最高であった2013年の1,036万人を300万人余り上回った。
と記載されていました。
このペースで行くと、2020年の東京オリンピック・パラリンピックイヤーまで、インバウンドは右肩上がりとなっていくと楽観視することも出来ます。
しかし政府はオリンピックまでに2,000万人、その10年後には3,000万人という高い目標を掲げています。
今国会でカジノ法案を見送った場合、2020年には、IR施設の建設はほとんど間に合わなくなるわけですが(今でもギリギリですし…)、このまま見送りを続けてしまう場合、政府が掲げているインバウンド目標2,000万人、3,000万人に一体どうやって達成させ得るのか…。
オリンピックが来れば、このままインバウンドが伸びるのはある程度予測は出来たとしても祭典はたったの2週間です。その後は一体、どうするのでしょう…?
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『鍛野ミミの「カジノの目線で」-ここだけばなし-』より一部抜粋
著者/鍛野ミミ
カジノディーラー歴24年。ラスベガスのディーラーライセンスを持ち、日本では数えるほどしかいない、海外大手カジノ事業主の「富裕層・VIPマーケティング」業務を経験した筆者が、これまで語ることのなかったカジノの「アレコレ」を発信していきます。
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