スポーツショップにとって苦しい現状。しかし、未来は明るいぞ

 

業界のおおまかな歴史

まず、業界黎明期の1960年代です。全国各地にスポーツショップが出来始めました。そして、なんといっても1964年の東京オリンピック開催が転機となり、スポーツを楽しむ人たちが増え始めます。商業統計は1972年から始まっていますのではっきりとした数字は分かりませんが、1960年代の終わりには、スポーツショップの数は1万店くらいになっていたようです。売上規模は1,500億円くらいだったと推定されます。

1970年代は日本経済の高度成長が続き、スポーツ業界もレジャーブームに押されて伸びていきました。多くの人がスキー、ゴルフ、テニスを楽しみます。また、アディダスやナイキなどの海外ブランドが続々と入ってきて、国内メーカーさんも発展していきます。お店は、何もしなくても飛ぶように売れた時代です。売上規模は、9,000億円くらいになります。

1980年代経済安定成長期です。バブルも続いていました。大型スポーツチェーンが全国に進出していったのもこの頃です。それにつれて、メーカーさんもますます力をつけていきます。売上規模は1兆2,000億円ほどです。

1990年代になると、Jリーグも出来て業界の勢いは続くかのように思えました。ところが、良いことは長くは続かないものです。バブルが崩壊しました。やがて、銀行も倒れ、大手GMSも苦しくなります。レジャーブームも終わりです。それでもスポーツ小売市場は1兆8,000億円まで伸びていきました。

2000年代には、とうとう不景気の波をかぶります。大型スポーツチェーンの業績も悪化です。大手メーカーさんも苦しい経営を強いられます。苦しい時代です。町のスポーツショップも、例外ではありません。売上がじわじわと下がり続けます。年間売上は1兆3,000億円まで急降下です。

2010年代になるとさらに状況は悪化していき、中小スポーツショップの激減時代が始まります。その間、大手スポーツチェーンは、商品構成を切り替えながら生き残りを図っていきます。さらに、流通構造を変える要因の一つになっていったのがネット販売の増加です。一方、メーカーさんは販売店の集約化を図りながら、未来に向けた戦略を展開していっています。現在の市場規模は1兆2,000億円ほど。

おおまかに言えば、これがスポーツ業界の現在までの歴史です。こうしてみると、中小のスポーツショップにとっては、あまりいい現状とはいえません。何だか未来も明るくなさそうです。しかし、従業員の皆さんには、こうした歴史と現状を伝えつつ、将来の明るい展望を伝えなくてはいけません。なぜなら、まさに将来は明るいからです。

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