「ペーパーテスト」より「授業態度」で評価
大阪教職員組合の先生方は、「ペーパーテストでの評価の割合は4割にし、残りの6割は授業態度や発表、提出物等で評価するように」という指導方針を支持しているようだ(※2)。
つまり、「いくら定期テストなどで良い点数をとっても、日常の学校生活の態度を理由に、先生に内申点を低くつけられる可能性が大である」ということであり、「自分が志望する高校に、学力面では合格ラインにあるのに、合格できなくなる」ということなのだ。
実際、昨年度、「授業中に寝てしまったことがある」というある生徒は、学校の定期テストで毎回、非常に良い点数を取り続け、入試模擬テストなどでも高い成績を取っていたのに、志望していた府立高校に不合格となってしまった。「調査書(内申書)」は、生徒本人も確認できないので、あくまで推測の域を出ないものであるが、まったくもって納得のできない結果であった。
しかも、「寝てしまった」ということは問題があるとしても、「授業態度が良いか悪いか」という判定は、先生の主観に大きく左右される。はたして先生方の「評価」に信用がおけるかどうか、かなり疑わしい。
耳を疑った最近の事例では、大阪の某市立中学校でクラス担任が「悪口ノート」を作って、生徒たちの悪口を書き連ねていたという。発覚して、3日間の謹慎処分を受けて担任を降ろされたものの、まだ同じ学校に在職しているという話を聞いた。このような教師に正当な評価ができるのだろうか。
さらには、放課後の部活動でも「顧問の先生が担任なので、『辞めると内申点を下げるぞ』と言われて、辞めたくても辞められない」という話も聞く。課外の部活動での態度までが内申点に影響するというのは、やり過ぎではないだろうか。
ただ、大阪府は、内申点の決定にあたって、教師の恣意的評価を排除し公平性が保たれるように、府内の全中学生に「チャレンジテスト」を実施して、各学校がつける内申点が、大阪府全体の中で適正であるかを確認するという取組みをしている。
中学生はまだまだ子どもであり、やんちゃもすれば、思春期特有の感情的なブレも大きい。その「人間的な部分」の評価を、彼らの人生の第一関門である高校入試で大きく扱うというのは、いかがなものか。そもそも「ペーパーテストだけの『一発勝負』の入学試験は、生徒が可哀想」だという発想は間違っている、と思う。大きな試験に臨むためには、毎日コツコツと学習を続け、しっかりと準備しなければならない。決して「一発勝負」などではないのだから。
小宮直子(塾講師)
※1:平成29年度大阪府公立高等学校入学者選抜における調査書の評定の取扱いについて
大阪府サイト 平成28年6月17日の記事より
※2:教育を大きくゆがめるチャレンジテストの廃止・撤回を
大阪教職員組合サイト2016.5.20の記事より
image by: Shutterstock.com