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内申書をタテにやりたい放題。教師以前の人間がのさばる学校

高校入試においてその比重が大きい「内申点」ですが、教師からの「印象」に左右される面も多々あると問題視されてきました。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では内申書を盾に取る教師たちの許しがたい悪行を記すとともに、そもそも「ペーパーテストだけの一発勝負の入試は生徒が可哀想」という発想が間違っていると指摘しています。

「内申点」で生徒の人生を握る先生?

「『授業中、私語はしていません』と、自分も言い、クラスの他の生徒たちも証言してくれているのに、先生がまったく信じてくれず、職員室に呼び出されて厳重注意された」

「爪にマニキュアなどしていないのに、先生が『絶対にしているはずだ』と言い、厳しく注意された」

こんな話を、塾で教えている中学生たちから聞かされた。昔から、学校の校則とか生活指導というのは、理不尽なものだと思ってきたし、多くの人が良くないと感じているはずだと思うのだが、21世紀になって十数年も経った今でも、無くなるどころか、よりいっそう理不尽になっているのではないかと感じる。

それが、「あの先生、いやになっちゃうよね」という笑い話で済めばいいのだが、これが高校入試の結果に直結する内申点に影響する問題だとなれば、子どもにとってはもちろんのこと、親にとっても深刻である。

つい最近も、ある3年生が「音楽の先生ににらまれて、通知表に『2』を付けられてしまって、行きたかった私立高校には『合格できない』と言われてしまった」と話していた。

他の都道府県の事情はよく知らないのだが、大阪府では公立高校の入試の合否判定の元となる中学校の「内申点」のルールが、ころころと変わり、生徒も親も塾の教師も混乱している(※1)。

これまで、内申点は3年時の成績だけで決められていたが、今年度、平成29年度からは23年時の成績、来年度の平成30年度は1年から3年時までの3年間の成績によって算出されることになった。

「3年時の成績だけで評価するより、公平になるのでは?」と思われる方も多いかもしれない。しかし、生徒に言わせれば、「入学したときからずっと、気を抜けないので大変」ということなのだ。

内申点は、主要5教科(英・数・国・理・社)だけでなく、体育・音楽・美術・技術家庭の副教科も含む9教科で算出される。副教科は、それぞれ得手・不得手がはっきりと表れるものなので、かなり大変だろうと思う。

「ペーパーテスト」より「授業態度」で評価

大阪教職員組合の先生方は、「ペーパーテストでの評価の割合は4割にし、残りの6割は授業態度や発表提出物等で評価するように」という指導方針を支持しているようだ(※2)。

つまり、「いくら定期テストなどで良い点数をとっても、日常の学校生活の態度を理由に、先生に内申点を低くつけられる可能性が大である」ということであり、「自分が志望する高校に、学力面では合格ラインにあるのに合格できなくなる」ということなのだ。

実際、昨年度、「授業中に寝てしまったことがある」というある生徒は、学校の定期テストで毎回、非常に良い点数を取り続け、入試模擬テストなどでも高い成績を取っていたのに、志望していた府立高校に不合格となってしまった。「調査書(内申書)」は、生徒本人も確認できないので、あくまで推測の域を出ないものであるが、まったくもって納得のできない結果であった。

しかも、「寝てしまった」ということは問題があるとしても、「授業態度が良いか悪いか」という判定は、先生の主観に大きく左右される。はたして先生方の「評価」に信用がおけるかどうか、かなり疑わしい。

耳を疑った最近の事例では、大阪の某市立中学校でクラス担任が「悪口ノート」を作って、生徒たちの悪口を書き連ねていたという。発覚して、3日間の謹慎処分を受けて担任を降ろされたものの、まだ同じ学校に在職しているという話を聞いた。このような教師に正当な評価ができるのだろうか

さらには、放課後の部活動でも「顧問の先生が担任なので、『辞めると内申点を下げるぞ』と言われて、辞めたくても辞められない」という話も聞く。課外の部活動での態度までが内申点に影響するというのは、やり過ぎではないだろうか。

ただ、大阪府は、内申点の決定にあたって、教師の恣意的評価を排除し公平性が保たれるように、府内の全中学生に「チャレンジテスト」を実施して、各学校がつける内申点が、大阪府全体の中で適正であるかを確認するという取組みをしている。

中学生はまだまだ子どもであり、やんちゃもすれば思春期特有の感情的なブレも大きい。その「人間的な部分」の評価を、彼らの人生の第一関門である高校入試で大きく扱うというのは、いかがなものか。そもそも「ペーパーテストだけの『一発勝負』の入学試験は、生徒が可哀想」だという発想は間違っている、と思う。大きな試験に臨むためには、毎日コツコツと学習を続け、しっかりと準備しなければならない。決して「一発勝負」などではないのだから。

小宮直子(塾講師)

※1:平成29年度大阪府公立高等学校入学者選抜における調査書の評定の取扱いについて 
大阪府サイト 平成28年6月17日の記事より

※2:教育を大きくゆがめるチャレンジテストの廃止・撤回を 
大阪教職員組合サイト2016.5.20の記事より

image by: Shutterstock.com

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