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賞味期限を崇拝する日本人と、消費期限でさえいい加減すぎる米国人

以前掲載の「信じられない。日本人には到底理解できぬアメリカ人の異常な日常」では、恐ろしく高いニューヨークの物価や、フライドポテトにケチャップ8個の謎についてお伝えしましたが、今回のメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』では著者で米国の邦字紙「WEEKLY Biz」CEOの高橋さんが、いい加減過ぎるアメリカの「食物事情」と日本のスーパーとの違いなどを、面白おかしくレポートしています。

「店員さまは神様です!」

毎日、NYの編集部には日本のお弁当屋さんがデリバリーに来てくれます。 世界一物価が高い街で、チップ不要、$8の日本食弁当は、僕たち日本人庶民の強い味方です。 週の頭に一週間分、注文するのですが、この仕事は当然、その日いきなりの取材、営業アポが入ります。 買ったはいいけど食べられない日があり、オフィスの冷蔵庫に一旦入れて、夕方に食べる日も珍しくはありません。

それどころか、昼も夜も取材が入った場合は、翌日の昼に食べることになる。

特に生ものでもなければ全然平気です。 気にしたこともない。 24時間くらいなら。

でも、たぶん、これを読んでくれている方の中にも「げっ」って思われた方もいらっしゃると思います。24時間経過したお弁当を食べちゃうの!!??と。

まったく意識していませんでした。 弊社の社員も、全員、そうしています。

今回、日本から来た2人のインターン。20代の男女は、ふたりとも「ありえない!」と目を丸くしました。 新人2人と、旧メンバー、全員で大激論(笑)

生ものじゃないし、全然匂わないんだよ!(旧メンバー)

でも、ごはんカチカチになってないっすか?衛生的にも精神的にもイヤだ(新人)

カチカチになってないし!レンジでチンするし!もったいないし!(旧メンバー)

お腹壊して病院行く方がもったいないですよ!(新人)

やめとけよ。 間違いなくオレたちの方がおかしいらしいから(笑)(僕)

確かに、日本で暮らしていた頃は、24時間経過したお弁当を食べることはなかった気がします。 その背景には新聞社の外国人社員がみんな貧乏だということもありますが、この国自体、賞味期限が日本とくらべてあまりにもいい加減な文化であり、それに融合しちゃった面も否定できないと思います。

日本では賞味期限の偽装は、国内の大ニュースになりますが、こっちでその手の報道はあまり聞いたことがありません。

だいたい、まず大前提に、明記されている賞味期限を心底信用している消費者なんかこの国にいない(笑)。いい加減な国民性は、消費者に「自分で考える習慣を(強制的に)身につけさせてくれます。(笑)

最後に信用できるのは、「見た目と匂い」。 いや、これ、本当の話。

以前のオフィスビルの真横に、「アーミッシュ・マーケット」がありました。

アーミッシュとは、アメリカの郊外(というかド田舎)に住んで、文明機器を一切否定し、昔の自給自足スタイルで暮らす人々のこと。

その人たちの直送の農産物などを売っているのがアーミッシュ・マーケット。つまり、農薬も使わず、とにかく新鮮である、ということを売りにしているグロッセリーです。従来の保存食がメインのスーパーマーケットに比べて、鮮度が勝負!というコンセプトの、このマーケット。

そこの果物がしょっちゅう腐ってました。(笑)

もちろん賞味期限内のラベルです。 食べて、瞬間で吐き出す。明らかに腐ってる。

店長に文句を言うと、謝罪ひと言もなく「返金と、新しいのと交換。どっちがいい?」とそれだけ。

アーミッシュマーケットですら、こんな具合なので、従来のスーパーだと、あきらかに古く変色している野菜や、パックの中で割れている卵が売られているのは珍しい光景ではありません。

でも、大丈夫です。

僕が(もしくは、あなたが)買わなきゃいい、、、から。

本当にそんなスタンスなんです。 こっちの流通システムなんて。

買ったおまえが悪い!とまでは言わなくても、店サイドが謝罪することはないし、客もそれをわかっているのか、返金させしてくれれば、特別声を荒げてクレームを言うことはない。

世界中からの移民で出来たこの国のモットーは、結局のところ「自己責任」。

なので、うちの奥さんが前回の日本一時帰国でいちばん驚いたことは、埼玉の実家の近所のスーパーで、みんな商品をマジマジ凝視せずさっさっとカゴに入れていくことでした。

「みんな、お店を信用しきってるの!」と興奮気味で語る妻を、「あたりまえだろう!ここは日本なんだから」となだめました。

でも実は、僕個人はあまりスーパーに買い物に行く事がないことも含め、とりたてて、そのこと自体に不満を感じたことはありません。 (昨日の弁当、平気で食っちゃうしな)やっぱり、結局、視覚と嗅覚を駆使すれば事故は防げる、という思考になっちゃてるのだと思います。

そんなことより。

そんなことの100倍ツラいのは。

レジに並ぶお祭りくらいの人の列。いちいち店員が客にフレンドリーに話しかけやがるので、全然、さばけない。 日本のスーパーだと5分もかからない列に、もう30分もカゴを持ったまま待たされる

どっちかっていうと、そっちをなんとかしてくれないかな。 。

あるアメリカ人の友人は言います。

「どうして、客とフレンドリーにしゃべるのがいけないんだい?それこそが接客じゃないか」

その前に腐ったモノ売るなよ

image by: Shutterstock

高橋克明この著者の記事一覧

全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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