普段から当たり前のように見聞きし疑うことなどない「一周360度」という概念ですが、なぜ「360」という数字なのかはご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』では著者の須田將昭さんがその謎に答えています。時差や星座とも関係しているようですよ。
一周360度を探検してみよう
私たちの身の回りにはいろんな単位がありますが、「角度」というのも大事な単位です。ぐるっと回った一周を360分の1したものが「1度」となっています。
なぜ360度?
かつて「1年は360日」と考えられていました。360日経つと、ある星がまた同じ位置に見えるからです。実際には少しズレていますが、360という数字はなかなか使いやすいものです。
まず「時差」というのを考えてみましょう。経度0度はグリニッジ天文台を通るグリニッジ子午線です。そこから東と西に座標を取ります。日本の標準時子午線は兵庫県明石市で、東経135度です。
24時間で地球は1周します。つまり「360度回転する」と言い換えられます。そこから1時間あたりに回転する角度を考えると
- 360÷24=15
となります。1時間で15度回転するのです。では135度離れたところと比べると
- 135÷15=9
となって、9時間のズレがある…ということがわかります。
※ 現在の協定世界時は「国際原子時」に基づくものですが、かつてのグリニッジ標準時の考え方は継承されているので、通常の生活にはこれで困ることはありません。
中国では東経120度線の時間を標準時としています(北京を通っています)。明石市と15度違いますから、日本との時差は1時間とわかります。ちなみに東京都は東経約140度に位置します。5度違いますから、約20分の「時差」があることになりますね。
今度は空に目を向けてみましょう。1年経つと星空はぐるっと回って、同じ星座が見えます。冬の代表的な星座オリオン座は、今の時期ですと11時頃には東の空高くに上ってきますが,真冬には夜8時頃に真南にいます。少しずつ「上ってくるのが早く」なります。それはどのくらいの違いでしょうか?
これも360度で考えます。1日24時間で360度動くので、1時間で15度です。つまり1度動くのに4分かかります。一方,365日で360度動くのですから、1日で約1度ずれていけば、1年後、同じ時間、同じ方向に同じ星が見えることになります。
1度動くのに4分です。つまり、1日に約4分ずつ早くなるのです。
今、夜中(0時)に見えている星空は、2ヶ月後(60日後)には
- 4×60=240分=4時間
という計算から、夜8時頃の空と同じということになりますね。
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