失われた何年になるのか。「好景気」なのに日本が詰んでいるワケ

 

日銀の金融政策は間違い

金融政策は、特に量的緩和は、景気後退期に行うことで通貨量を増やして、通貨量を維持することで、物価下落を止めて景気の底上げを図ることである。

しかし、現時点、世界的な景気上昇時であり、金融政策は引き締めの方向にする必要がある時期なはずである。内閣府は、2012年12月に始まった景気回復局面が高度成長期の「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さとなったと言っている。

自動車販売店に行くと、土日曜日は多くの客がいて、なかなか対応してくれない。有名な料理の店でも多くの客が列を作り、景気が良いことを実感する。

これ以上の景気拡大を起こす必要がないはずである。この景気上昇は、中国の景気が良いことで起こり、中国の景気は、今後落ちることが見えている。

現時点では、量的緩和を止めて、買ったETFを売り、次の景気後退に備えるべき時である。日銀は、手持ちETFを今売れば、膨大なもうけを得ることができる。それを国庫に回して、政府はその資金で国債を大量に償還した方がよい。こうして、次の景気後退期に備えるべきである。

もし、日銀がETF買いを続けると、株価は上昇していくが、それはバブルを助長していることになり、景気後退時には、その分株価が落ちることになる。バブル崩壊になると、景気後退の深さが大きくなる。よって、今の日銀ETF買いには、良いことはほとんどない。

物価上昇2%にならない理由

それなのに、物価はなかなか上がらない。これには理由がある。全人口に占める60歳以上の高齢者数が50%になり、年金生活者が拡大している。この年金が年々減額されているからである。

高齢者層でも所得が高い人の年金を減らしたり、所得税を上げて、しかし、年金の低い人の年金を下げないようにしないと、消費を下げざるを得ない人口が半分いることによる。

もう1つが、非正社員や中小企業社員が雇用数の半分になり、ここでも給与が増えないが、社会保障費が上がり手取り収入は増えていない。減っている場合もある。アルバイトの賃金は上がったが、非正規の契約社員より低い。

よって、消費は全体的には下がり、物価が上昇しないことになるし、物価が上がる理由の多くが原材料の高騰である。価格が上がると消費を下げることになる。この部分が大きいので、景気が良いと実感できない人が多いのである。

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