MAG2 NEWS MENU

日本の「こけし」が海外でブームに。「日本の職人芸すごすぎ」の声も

日本を訪問する外国人観光客が増加する中で、日本の伝統工芸品が改めて海外で評価されつつあります。その中でも、海外で人気を集めているのが「こけし」です。なぜ今、こけしが海外で「クール!」ともてはやされているのでしょうか。こけし発祥の地である宮城県鳴子温泉にある「桜井こけし店」の勇気あるチャレンジを紹介します。
※本記事はジモトのココロに掲載された記事です(2017年11月8日)

 

今、KOKESHI DOLLが海外でも人気!

街を歩くと目にする大勢の外国人観光客の姿ももはや珍しいものではなく、日常の風景となりつつあります。彼らがいったい日本のどんなものを喜び、何をお土産に買っているのか、日本人としてはとても興味がありますよね。私たちにとって何でもないものでも、ときに彼らには超「COOL!」に映るようで、その感性の違いに新たな日本を発見することも少なくありません。そんな外国人に人気のグッズでへぇぇぇ〜と思ったのが「こけし」です。

 

昔はどこのおうちにでも飾られていたものかもしれませんが、正直今はあまり見かけないなぁと……。と言っても日本人ならこけしを知らない人はいないだろうし、言うならばそこにあってもなくても特に気にしたことがないようなモノという感じでしょうか。こけしファンの方やコレクターの方もいらっしゃるので、そんなことを言ったら怒られそうですが。

 

と言いましたが、実は日本でも、近年こけしを愛する「こけし女子」あるいは「こけ女」と呼ばれる女性たちが増えつつあり、静かな第3次ブームを呼んでいるのです。
中でも、青森、山形、宮城などの東北で手作りされたこけしが人気で、全国各地のこけしスポットをまわったり、お気に入りの職人さんのこけしを集める女性たちが増えているそう。

 

yoshikoさん(@yo_shi_ko)がシェアした投稿

【全国のこけしファンが訪れる青森・津軽こけし館】

 

さらに、人気のアパレルブランドのBEAMSと仙台の職人が連携して仕掛けた「Indigo Kokeshi」や青森の高校生が考えたこけしとチェスのコラボ「こけス」など、進化系のこけしも登場し、ブームにさらなる拍車をかけました。

 

日本でも密かなブームの中、外国でもこのこけしがポピュラーになりつつあるようで、“KOKESHI DOLL”として人気を集めています。どこかロシアのマトリューシュカに似た風貌なので、国境を越えて雑貨好きな人のカワイイをくすぐる要素があるのかもしれません。

 

そこで、今回はこけしの名産地として知られる宮城県鳴子温泉の「桜井こけし店」を中心にご紹介。

こけしの発祥地!宮城県の鳴子温泉にある「桜井こけし店」

そんな外国でのKOKESHIの人気に目をつけ、アートでポップなこけし作りを行うのが宮城県、鳴子温泉にある「桜井こけし店」

鳴子温泉はもともとこけしの発祥の地と言われる場所で、子どもの遊び道具として作られていた人形が少しずつ知られるようになり、お土産品として広まっていったと言われています。

その鳴子温泉で江戸時代からこけし作りを行う老舗が「桜井こけし店」なんです。

 

 

  

「桜井こけし店」では様々なタイプのこけしを作っていますが、海外用にデザインされた「Hagoromo(はごろも)」と名付けらえたこけしに注目。淡いパステルトーンの色彩で、これが本当にパッと目をひく可愛いさなのです。

 

こけしのシンプルなフォルムとパステルカラーがこんなにも相性よいことに驚かされました。この「Hagoromo」シリーズのこけしは、仕上げてにろうを塗っていないのが特徴で、そのため木材の持つ風合いがそのまま残されています。今までのこけしとは異なる完璧なニューウェーブなんですが、これがなんともおしゃれ! 

 

まるで北欧のおもちゃのようなシンプルな可愛さは、はまる人にはたまりません。これならおしゃれなカフェに置いても全然浮かないし、白壁にも映えます。ナチュラル系やビタミンカラーが効いた北欧デザインの空間までどんな空間にもセンスよく馴染む、まさに逸デザイン! 

インスタでこの「Hagoromo」のこけしの写真を見たとき、これまで自分の中にあったこけしの概念が根本的に覆られました。

 毎年1月と9月にパリで開かれるインテリア業界のパリコレとも称される国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」でもこの「Hagoromo」がとっても人気で、日本でも人気のイギリスのデザイナーブランド「ポール・スミス」とも取引が結ばれたそうです。日本のこけしがKOKESHIとなって海外へ輸出される時代なんですね。

 

「Hagoromo」を見た海外の人からは、「とてもラブリー!」、「なんて可愛いの!」、「本当にカワイイ」などの声がたくさん寄せられています。

 

What do you think of these lovely new items?

桜井こけし店 | Sakurai Kokeshiさん(@sakuraikokeshi)がシェアした投稿 –

 

ピンチをチャンスに変えたこけし職人たち

ちなみに「桜井こけし店」が海外へ向けてこけし作りを始めたのは、鳴子温泉へやってくる観光客が減少し、お土産品としてこけしが売れなくなってきたから。

 

 

江戸時代後期から受け継がれてきたこけし作りの技巧をここで終わらせてしまうのも忍びなく、それならばかつて先代たちがそうであったように何か新しいことに挑戦しようと思い切ったのだそう。

先代の想いを引き継いだこけし作り

KOKESHIとして見事、海外で新たなスタートを切った鳴子のこけしですが、新しいデザインが生まれるときにはいつもその背景に人々の様々な想いや物語があるのです。

 

時代の進化とともに、どんどん日本の伝統的な工芸や民芸文化が失われていくのはなんとも残念なことですが、「桜井こけし店」のようにピンチをチャンス!に置き換えて新たな時代を切り開いていくその姿勢には、きっと多くの人が背中を押してもらえたのではないでしょか。今後のKOKESHIの活躍にもますます期待したいところですね。鳴子温泉に遊びにいくことがあったらぜひ「桜井こけし店」に立ち寄ってみてください。かわいいこけしたちがずらりと首を揃えて出迎えてくれることと思います。

桜井こけし店HP

 

次のページでは全国各地の人気のこけしを紹介!

全国各地の人気のこけしたち

この他にも、こけしのお店やこけし館など、人気を呼んでいるこけしスポットが全国各地に点在しています。

【宮城県】 みやぎ蔵王こけし館

 

meiyunphotoさん(@meiyunphoto)がシェアした投稿

昭和59年5月に開館したこけし館。全国の伝統こけしと木地玩具5,500店以上が展示されています!

宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉新地西裏山36−135
Tel:0224-34-2385
公式サイト 

 

【山形県】 「猫こけし」

 

ロッタさん(@rottakun)がシェアした投稿

山形県・蔵王高湯系の梅木直美工人の作品「猫こけし」。キュートですね!

 

【群馬県】 卯三郎こけし

創業者の岡本卯三郎氏が昭和25年よりこけし創りを手がけてから、現在まで続く老舗店。高級素材「ケヤキ」、「クリ」や「サクラ」など、こだわっています。

卯三郎こけし
群馬県北群馬郡榛東村長岡1591
Tel: 0279-54-6766
公式サイト

 

一口に「こけし」と言っても、伝統系のものから進化系まで多様で、また表情や形なども実に様々。海外でもブームになりつつあるこけし、今後もますます注目したいですね!

 

 

【ジモトのココロ関連記事】

またニッポンに泊まろう。外国人にウケがよかった日本のホテルの特徴 

現役飛行機の間近で食事ができる調布「プロペラカフェ」に潜入

長崎県民が教える、ふらり一人旅でも入りやすいカウンターのある居酒屋 

 

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け