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「どうせ」発言を見逃すことは、子供の一生を左右する大問題だ

子供の健やかな成長に欠かすことができない「自己肯定感」。その高低は大人になっても人生に大きな影響を及ぼすと言われています。今回の無料メルマガ『子どもが育つ「父親術」』では、自己肯定感の強い子供・弱い子供のそれぞれの特徴と、親が気づいてあげるべき「子供が発するサイン」が紹介されています。

自己肯定感の効用

今日のテーマは、ズバリ「自己肯定感」。

自己肯定感って、聞いたことがありますか? 私も時々書いていますが、「自己肯定感」とは「自分に対する安心感・信頼感・自信」のようなもの。「自分は価値ある存在だ」という感覚、人に評価される/されないに関係なく持てる自信とも言っても良いでしょう。子どもの成長はもちろんのこと、生きていくうえでの精神的な基礎となる、とても大切なものです。

パッと見ただけで高いのか低いのか分かりにくいものですが、子どもの見せるシグナルで察知することは可能です。特に、次のような言動があったら、見逃さないようにしましょう。

「オレなんて…」
「私なんかが…」
「どうせ…」

こんな言い方で、自分の価値・可能性を最初から否定するような発言をしている時は、自己肯定感が低下しているサイン。また、クラスメイトやチームメイトなどの名前を次々に挙げて、その子たちの批判(どんなふうにダメな子なのか)を延々と続けるのも、要注意サインです(自分に価値があると思えない時に、他人の価値を落とすことで相対的に自分の立場を上げて安心しようとする現象です。いくら他人を悪く言っても安心感は得られないのですが…)。そんな時は、子どもの言い方・言っている内容を叱るのではなく、もっと根本的な原因──自己肯定感が低下している状態──に目を向けてあげてくださいね。

一方で、自己肯定感が高いと、いろいろな面で子どもの毎日を支えてくれる基盤となります。すぐに思いつくだけでも、

  1. 前向き・ポジティブな考え方になれる
  2. 努力できる・継続できる
  3. チャレンジ意欲が持てる
  4. 折れない心・打たれ強さが育つ
  5. 他人を認める・他人から認められる

など、いといろあります。それぞれについて、

など、詳しくご説明しますね。

1.前向き・ポジティブな考え方になれる

自己肯定感の高い子は、自分自身の存在に安心感があります。すると自然と「自分が生きるこの世界」に対する安心感も持てるようになります。この「安心感」をもう少し具体的に言うと、「いろいろあったとしても、基本的に自分は良い環境で暮らしているという気分です。

「どんなことも前向きに受け止める」「365日常にポジティブ」というわけにはいきませんが(それが理想とも思えませんし・笑)、この感覚を持っている子はムダに悲観しすぎたり物事を必要以上に悪く受け取ったりすることがありません

…これだけの説明だと、「ふーん。だから?」と思うかも知れません。ですが、考えてみてください。毎日の中で起きる、数々の「思い通りにいかなかったこと」「友達とのコミュニケーションのすれ違い」などに対して、ネガティブに悲観的に受け止めるのと、前向きに楽観的に受け止めるのと。子ども自身の気分も違うでしょうし、帰宅後の親子の会話も大幅に違うものになりますよね。

2.努力できる・継続できる

自分自身への信頼感は、そのまま「自分はやればできる」という感覚につながります。とは言え、ここでひとつ注意があります。「やればできる」という感覚と、「やる気になるかどうか」は全く別の問題です。「いつでも・何に対してもやる気満々」ではありませんので気を付けてください(笑)。

それでも、自分の努力が無駄にならないという信頼感を持てている子は、「やると決めたことに対して努力できる」もの。加えて、自分の努力が実を結ぶはずとの感覚があるから、その努力を継続できるという面もあります。そういう状態になれると、親からも子どもを認める声掛けがしやすくなります。

「テレビを観る前に、…することにしたのか。がんばっているね」
「毎日よくがんばっていて、感心するなぁ」

このように声をかけるチャンスが多くなるので、さらに自己肯定感が高まるという良い循環に乗りやすくなりますよ。

 3.チャレンジ意欲が持てる

自己肯定感の高い子は、自分自身に信頼感・安心感があります。なので、自分の興味・感心についても肯定的に捉えることができます。自分が興味を感じたこと・関心を持ったことに対して、スムーズに活動意欲が引き起こされあれこれとチャレンジする──という流れが、自然と起きやすいのです。

そこで発生する子どもの行動は、大人の尺度では「無意味なこと」「意味不明な作業」「ロクでもないイタズラ」と見えるかもしれませんが(^_^;)、大切な子どもの体験です。数々のチャレンジの結果、子どもは「いろいろな体験を得る面白さ」や「成長につながる喜び」を知っていきます。そして、そうした感覚を得た子どもは、さらにチャレンジ意欲を増す──という好循環に入っていくのです。

一方で、自己肯定感の低い子は、他者から評価してもらうことでしか自分の価値を見出せない傾向があります。「えらい」「すごい」「じょうず」と言われていれば安心、言われていないと不安、そんな状態です。そんな子にとって「失敗」とは、他者からの評価が下がる──つまり、自分の存在価値が危機にさらされる、恐ろしいできごと。決して起こしてはならない事態です。だから、失敗につながる恐れのあること──新しいことへのチャレンジすべて──は、「やらないと判断するのが自然な流れとなってしまいます。つまり、チャレンジ意欲が持てないのです。

…の悪循環に入ってしまいやすく、非常に心配です。

4.折れない心・打たれ強さが育つ

同じ理由で、失敗やトラブルに出遭った時にも、大きな違いが生まれます。自己肯定感の低い子が失敗すると、いとも簡単に落ち込んでしまいます。前述のとおり、こういった子にとって、すべての「悪い結果」は自分の価値を減じるできごと。「ボクってダメな子だ」と、すぐに自信喪失・さらなる自己肯定感の低下につながってしまうのです。

一方、自己肯定感の高い子は、失敗やトラブルが自己否定に簡単につながることはありません。自分自身はOK、でも目の前には失敗の事実──こういう状態から導かれる思考は、「やった内容/やり方/タイミングが悪かった」という方向になります。そこからは自ずと「では、次はどんな内容/やり方/タイミングでやろう?」という発想が生まれてきます。こうした流れに乗った子が、他者からは「折れない心を持った子」「折れてもすぐに立ち上がれる、しなやかな強さのある子」と見えるわけです。

こんなふうに、自己肯定感のある・ないは、失敗への受け止め方に大きく影響します。自己否定の根拠にしてしまうのか、次なる成長の糧にしてしまうのか。この違いは、非常に大きいです。子ども時代を越えて、大人になっても大きな違いをもたらす点なので、強く心に留めておいていただきたいポイントです。

 5.他人を認める・他人から認められる

他人を認められる=自己肯定感が高い)子かどうか──それが明確にわかる場面があります。それは、隣で他の子が褒められた時。

自己肯定感の低い子は、他者からの評価で自分の価値を確認して、安心したいという欲求が常にあります。そのため、(自分ではなく)他の子が褒められると心穏やかではいられなくなります。「あの子ばかりが褒められて、自分は褒めてもらえないのではないか?」。そんな不安に駆られてしまうのです。

その結果、その子は強烈に自己アピールを始めます。例えば、先生が隣の子の絵を見ながら褒めた時をイメージしてください。

─アカネちゃん、上手に描けてるね。
「ねぇ、先生、ボクのも見て! ほら、上手でしょ!」

すぐにこんなふうにアピールを始めたりします。また、場合によっては、他の子を悪く言うことさえあります。

「えー、アカネちゃんは全然上手じゃないよ! だってここ、色がはみ出してるもん」
「でもね、ボクははみ出さないでちゃんと描けてるよ。ここにはパパとママも描いたんだよ。ね、すごいでしょ?」

このように「自分が褒めてもらう」ことや、「他の子を悪く言うことで、相対的に自分の評価を高くする」ことで、安心感を得ようとするのです。

ですが、こうした方法では、心の渇きは永遠に癒されることはありません。なぜなら、仮にそうした行動で褒めてもらうことができたり、他の子よりも高い評価が得られた気分になったとしても、そのことによって別のメッセージも同時に受け取ってしまうからです。その「別のメッセージ」というのは、

というもの。あれほど必死になって褒めてもらっていても、「人から評価されていなければいけない」という不安はむしろ強まってしまうだけ。いつまでたっても、自己肯定感は高まりません。そしてまた、不安に駆られて…を繰り返してしまうのです。

その反面、自己肯定感が高い子はどうでしょうか。自分自身に安心感と自信があるので、やみくもに他者と張り合う必要がありません。先生が隣の子の絵を褒めたとしても、

─アカネちゃん、上手に描けてるね。
「ほんとだ!アカネちゃん、上手だね~」

と一緒に感心してあげられるのです。こうして他者を素直に認めてあげていると、相手の自己肯定感も高まって、相手からも心から認めてもらうことができるようになります。

「アカネちゃん、ほんとに絵が上手だね!」
「うん、ありがと! セイタくんも、足が速くてサッカーも上手で、すごいよね!」

想像してみてください。この2つのタイプの子が、小学校に入ったら。どちらの子が、友達に恵まれて、豊かで楽しい毎日を過ごせるでしょうか。中学・高校で、教室でも部活でも充実した毎日を送れるでしょうか。社会人になって、部署の内外での良い協力関係を築き、大きな成果を挙げられるでしょうか。また、目上の人から可愛がられて、多くのチャンスを与えられるでしょうか。そして何よりも、子ども自身が、満足感のある、豊かな気持ちで日々を送れるでしょうか。

いつもより長い文章で、いろいろなことをお伝えしてきました。子どもの自己肯定感の大切さをお分かりいただけたと思います。子どもの様子・発言に気を配りつつ(自分を否定するようなことを言っていたら気にかけてあげる)、日常の中で子どもの自己肯定感を高めてあげられるような働きかけ・声掛けを意識していただけたら、私もとてもうれしいです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 パパコーチ くろさわ 【発行周期】 週刊

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