アベノミクスの果実は、結局「移民」が収穫するしかないのか?

tsuda20171127
 

自民党が先の衆院選の公約として掲げた「幼児教育無償化」。社会保障の拡充は重要な政策ではありますが、少子高齢化・働き手不足が進む中、その財源はどう確保するのでしょうか。メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さんは、安倍政権の経済政策だけを見ると「保守党ではなく英国の労働党的」であり、その行き着く先は国民の多くが貧困に陥る衰退国家だとした上で、まさに今が日本の行く末が決まる「分水嶺」であると断言するとともに、我が国復活に必要な「移民政策」について提言しています。

日本の分水嶺が近い

日本の不可逆的な変化点に近づいている。労働人口が減少するが、幼児教育も無償化して社会保障を拡大し、消費税だけではなく、多くの増税を行い、かつそれでも財政均衡化が遠ざかる。さあ、どうなるのでしょうか? 検討しよう。

社会民主主義への道(英労働党政権の道)

今の自民党政権は、1960年代の英国の労働党政権を見ているようである。自民党は、幼児教育の無償化などの社会保障を充実しているが、その上に労働者の賃金を上げた企業には、法人税を引き下げるという。自民党は、経済政策だけを見ると、保守党ではなく英国の労働党的である。

そして、GPIFと日銀のETFで多くの企業の大株主にもなっている。現時点では企業運営にはかかわらないというが、側面的に企業に圧力をかけることができる位置にいる。

しかし、日本企業は、優秀な労働者の不足で海外生産を増やし、人口減少で国内需要の落ち込みを見越して、海外市場を開拓して好決算にしているので、そう簡単には政府の言うことを聞けない

日本は後継者難で25年には130万社近い中小が廃業の危機に陥る見通しで、国内では部品の調達もできなくなる。経営を引き継いでも中小企業は従業員確保ができずに、廃業になることが見えている。

海外からの労働者を受け入れる移民政策をしないことで、国内需要が減少するとともに労働人口の減少も起きて、日本の国力は消耗することが、企業経営者には見えている。

2019年には消費税を上げるし、高額所得者の所得税を増税して財政均衡化を行うというが、日本の国力がなくなる中で、所得格差を無くす社会民主主義の政策である。

このため、日本に魅力がなくなり、ドイツ自動車以外の欧米企業は去っている。高級品も売れないからである。デフレは継続して、平均単価が500円の幸楽苑も窮地にあり、マクドナルドなどの300円で食べられる外食チェーン店が復活している。というより、外食全体が減少して、スーパーやコンビニのおにぎりなどの安い中食に需要がシフトしている。このため、500円以上の弁当も売れていない。

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