アベノミクスの果実は、結局「移民」が収穫するしかないのか?

 

金融政策の強化

このような国家産業の拡大なしに、社会民主主義政策を行うと、英国の労働党の結果と同じになる。国民全員が今より貧乏になる。

徐々に、黒田日銀総裁も金融緩和の行きすぎが、銀行の経営を圧迫して、資金の流通ルートを詰まらせることがわかり始めたが、安倍首相と取り巻きは、もっと金融緩和をするべきと日銀の金融政策運営に関し「物価2%目標の達成に向けて、大胆な金融緩和を着実に推進することを期待する」と述べた。

有効な規制緩和などの産業振興策も行わず、労働者不足をこのままにして税収も伸びない中で、社会保障制度・年金を維持するために大胆な金融緩和を行うと、それは財政ファイナンスである。

もちろん、増税は行うが、所得控除の縮小、森林環境税や観光促進税などを行っても6,000億円程度しか増えない。年間30兆円の赤字は埋めることができない

このため、年間30兆円の財政赤字を国債でカバーしているが、日銀は毎年80兆円国債を買うと、いつか市場には国債がなくなる。現時点で日銀の保有率は50%を超えている。

銀行の余剰資金は日銀がマイナス金利にしているので行き場を失い、ゼロ金利の国債を買うしかない状況であり、景気が良いという現時点でも、利益が出ずに大規模リストラを行う銀行は不況業種になってしまった。

日銀が年間6兆円のETFを買っているので、市場3位の保有率である。そしてGPIFが1位である。株価は2万2,500円であるが、もう少し上がるかもしれない。世界的な景気が上昇しているからである。しかし、公的介入のある東京市場は魅力がなくなる。このため、景気後退時は、ますますETFを買わないと株価を維持できなくなる。

バーゼル3の全面発効

バーゼル3の全面発効が遅れているが、銀行の資産における国債の格付けによるリスク回避部分では世界は合意している。銀行の安定性のための資産上積が問題にあっているだけである。

このバーゼル3により、AA以下の国債は、銀行にとって安全資産ではなく、リスク資産化を強いる。このため、国債を買えないことになるので、銀行は日本国債A+を買えなくなる。三菱UFJ銀行が国債を買わないと宣言したのは、この理由である。

その上に財政ファイナンスと思われたら、日本国債の格付けは現時点の格付けA+から下がることが予想できる。そして、Bランクの国債は年金機構も買えないことになる。

国債がBランクになると、国リスク増大とになり、1ドル=200円以上の円安になる。そして、輸入品の値上がりで高インフレになる。

これに伴い国家予算も増額が必要になり、そのため、予算編成をするうえでも一層の国債発行が必要で日銀直接購入となり、国債の格付けを下げることになる。悪循環が起こり、悪くするとハイパーインフレになる可能性もある。

こうならないためには、財政均衡化の努力をする必要があり、このため、社会保障の見直しとともに、大規模な増税を繰り返すことになる。当然、増税の中心は高所得者の税金を増やすことになる。ということは、年金生活者の年金が減るが、それ以上に国民の平等化、再分配を強化することにつながる。国民全員を貧しくする社会民主主義の完成である。

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