日本人医師の国際的な賞の受賞を、国内メディアがボツにした裏事情

 

この問題の解決ですが、やはりコツコツと地道に基礎理論からの教育を広範に施して、共通理解を広めて行く、その努力しかないように思います。ワクチンの問題に関しては、HPVだけでなく、風疹も麻疹も、異常なまでの低い接種率の世代を作った歴史があるわけで、生活科学の一環としての、あるいは保健体育でもいいですが医学の受益者教育ということが問われると思います。

遺伝子組み換えにしても、原子力の平和利用にしても、同じことです。周期表や分子生物学というと難しそうなイメージですが、中学の理科でちゃんと内容的には出てくるのです。その指導法を工夫して、社会全体のリテラシーを高めて行く、そんな地道な努力しか解決策はないのだと思います。

ちなみに、フェイクニュースの暴走メカニズムにも、その奥にはこうした身体的な感情論の問題があると思います。身体的な感情論に支えられると、事実でないことも「もう一つの真実」に見えてしまうわけで、この問題に関しては、右派のポピュリズムも、左派のポピュリズムについても全く同じと思います。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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