トランプ「中国とロシアは、米国の国益を損なう」宣言で再び窮地に

 

戦略なきトランプ政権

さらに、実際のトランプさんの動きを見ていると、「全然戦略がないのだな」と思います。なぜ? アメリカ、現状最大の課題は北朝鮮でしょう?「いつ戦争が起きても不思議ではない」状態が続いている。それで、他の地域での問題は解決し、新たな問題は起こさず、パワーを東アジアに集結させる必要がある。

こんな状況で、トランプさんは、エルサレムをイスラエルの首都と認めた。これが原因で、中東戦争が起これば、アメリカはイスラエル側に立って戦うことになります。つまり、「東アジアで戦争」「中東でも戦争」???? こういうバカげた状況を引き起こしたのは、トランプさんの宣言。つまり「自業自得」。戦略がある人は、このようなことはしないでしょう。

実際、トランプ政権の運営は、かなり「行き当たりばったり」な感じがします。中国、ロシアは、はっきり敵。「パリ協定離脱」「イラン核合意見直し」「首都宣言」で、欧州と対立。「首都宣言」で、世界16億人のイスラム教徒を敵にまわしてしまった。イラク戦争が始まったのは03年。翌04年、ソロスは、こんなことを書いています。

アメリカがその地位を失うとすれば、自らの誤りによってだろう。ところが、アメリカは今まさに、そうした誤りを犯しているのである。
(「ブッシュへの宣戦布告」ジョージ・ソロス 2p)

つまり、ソロスは、「イラク戦争は誤りで、この戦争が原因で、アメリカは没落する」と予言した。そして、実際そうなりました。今、トランプさんはブッシュ(子)同様の過ちを犯しています。頼りないアメリカ。「日本に沖縄の領有権はない!」と宣言している中国に、どう対応すればいいのでしょうか?

image by: plavevski / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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