米国とは対立、韓国とは急接近。北に対して日本はどう動くべきか

 

韓国が「和解」に動く意味

さて、北朝鮮問題は、実質

  • アメリカ、日本、韓国 対 中国、ロシア、北朝鮮

の戦いである。そして、アメリカ陣営は、「圧力派」。中ロ北陣営は、「対話派」。ところが、五輪を成功させたい韓国がアメリカを裏切った。すると、構図が変化して、

  • アメリカ、日本 = 圧力派
  • 中国、ロシア、北朝鮮、韓国 = 対話派

になってしまいます。で、実をいうと、国際世論は対話支持」なのです。もちろん、北朝鮮が国連安保理決議をバンバン破るので、制裁強化は支持されます。しかし、国際社会は、「制裁強化は、北朝鮮を対話の場に来させるため」という認識です。そう、誰も核戦争を望んでいないのです。日本は、このことをはっきり知っておく必要があります。

アメリカにも「対話支持派」が

実をいうとアメリカも割れています。「クレイジーな北朝鮮が、ワシントンやニューヨークを核攻撃できる状態になるのは許しがたい!」ということで、「主戦論」を主張する人たちもいる。一方で、「核戦争になったら何十万人死ぬかわからんから、対話でなんとかしよう」という人もいるのです。その中心人物は、「プーチンの親友ティラーソンさんでしょう。実際、彼は、北朝鮮と「対話」しています。

米朝、北京で極秘協議 先月上旬 トランプ政権の融和派巻き返し

産経新聞 1/4(木)7:55配信

 

■カナダ、日本の圧力方針懸念

北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり、米政府関係者と北朝鮮当局者が昨年12月上旬に北京で極秘協議を行っていたことが3日、分かった。同じ時期にカナダ政府が日本政府に「対北圧力」方針の見直しを迫っていたことも判明した。一連の動きの直後、ティラーソン米国務長官は北朝鮮との無条件対話に応じる考えを表明。トランプ政権内で対北融和派が巻き返しを図っているとみられる。

というわけで、アメリカも、「戦争」「圧力」「対話」で揺れています。そんな中、日本一国だけが、「圧力路線を絶対維持だ!」などとがんばればどうなるでしょうか? そう、「日本だけが戦争を望んでいる」「好戦的な国だ!」となるでしょう。

しかし、実をいうと日本は、「戦争を望んでいる」のではないですね? 「自分はできるだけ何もしないでアメリカに北朝鮮を成敗して欲しい」と思っているのでしょう??? これは、アメリカから見ると非常に狡猾です。

日本政府は、北朝鮮問題について情報収集を怠るべきではありません。トランプは、こんなことを言いました。

トランプ氏は4日、「私が、力の行使も辞さない断固とした強い姿勢で北朝鮮問題に臨んでいなければ、誰が南北の対話開始を信じられただろうか」とツイート。自らの北朝鮮政策が対話機運の高まりにつながったと自賛。「対話は良いことだ」と述べた。
(毎日新聞1月5日)

「対話は良いことだ」そうです。だから、安倍総理も言うべきです。「韓国と北朝鮮の対話が始まったことを歓迎する世界に核戦争を望む人は一人もいない」と。少なくとも、今は…。

1937年に日中戦争が始まった。中国は、アメリカ、イギリス、ソ連から支援を受けていた。そう、日中戦争は、事実上

  • 日本 対 中国、アメリカ、イギリス、ソ連

の戦争だった。こんなもん、勝てるはずないですね。この戦争の教訓は、「孤立すれば、破滅する」です。日本は北朝鮮問題で孤立しないよう注意が必要です。

 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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