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会社は教えてくれない、サラリーマンが確定申告で得する裏技

会社勤めの方でも申請すれば医療費控除が受けられるのは広く知られていますが、通院・入院分は別として、市販薬やマッサージなどといったものがどこまで医療費として認められるか把握しきっていない方も多いのではないでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では著者で元国税調査官の大村さんが、そんな医療費控除について詳細に解説するとともに、今年から新しく導入されるセルフメディーケーション税制についても詳しく記しています。

実はかなり使える「医療費控除」

そろそろ確定申告の季節ですね。なので、今回は確定申告のお役立ち情報を一つご紹介します。

確定申告というと、「事業や投資、不動産業をしている人がするもの」「家を買ったり特別なことをした人しか受けられない」というようなイメージがあります。が、ごく普通の生活をしている人でも、受けられる可能性が多々あるのです。たとえば医療費控除です。医療費控除というのは、一定以上の医療費だいたい年10万円以上がかかった人が受けられる控除です。

なぜだいたい10万円と言う表現をしているかというと、厳密に言えば、「10万円以上か所得の5%以上の医療費がかかった場合」が医療費控除の対象となるのです。サラリーマンの大半は、所得が200万円以上ありますので、「だいたい10万円以上」ということを頭に入れておけばいいのです。

もちろん、200万円未満の人は、それより少ない医療費であっても、医療費控除を受けられる可能性があります。もし年間30万円の医療費がかかった人が、医療費控除を受ければ、平均的なサラリーマンで、だいたい4~5万円の税金還付になります。

「入院などをしないと年10万円以上にはならないんじゃないか」と思う人もいるでしょう。が、実はそうではないのです。医療費控除というのは、実は範囲がけっこう広いのです、病院に行った時にかかったお金だけじゃなく、市販薬や栄養ドリンクマッサージ整体などの費用も医療費控除に含めることができるのです。ただし、市販薬や栄養ドリンク、整体、マッサージなどが無条件で医療費に含められるわけではなく、一定の条件があります。その条件は以下の通りです。

総じて言いますと、身体に何か不具合があるときの費用はOKだけれど、予防のためのものはNGということです。マッサージなどに行く人はけっこう多いと思われます。最近、マッサージ店が異常に増えていますからね。お疲れの人が多いんでしょう。マッサージをするときには、「マッサージ指圧師の国家資格を持つ店を選べば、節税になるということですね。

ちなみに、私も以前は、マッサージ店のヘビーユーザーでした。が、あるとき、週に一回マッサージに行くより、一日一回柔軟体操をした方が、肩こりには効果がある、ということがわかって以来、マッサージには行かなくなりました。

またこのメルマガでも以前紹介しましたが、病院での禁煙治療やED治療も医療費控除の対象になります。AGA薄毛治療の場合は、何かの病状による脱毛などは対象になることになっています。

レーザー治療も医療費控除の対象になる

医療費控除の対象となるものの中には、意外なものもけっこうあります。それらをいくつかご紹介しますね。

まず視力回復のためのレーザー治療。これも実は、医療費控除の対象になります。レーザー治療って、かなりお金がかかりますよね? でも、これは全額が医療費控除の対象となるのです。

また最近、オルソケラトロジー治療角膜矯正療法)という、近視改善の治療法があります。一定期間、特殊なコンタクトレンズを装用して、近視などを治す治療法です。これも、医療費控除の対象となるのです。このオルソケラトロジー治療もかなりお金がかかりますが、医療費控除OKなのです。

その一方で、普通のメガネやコンタクトレンズは医療費控除の対象にならないのです。なんか、おかしな話ですよね? メガネやコンタクトレンズって、近視の人にとっては、それがなくては日常生活ができないものであり、いわば足が不自由な人の車いすと同じようなものですよね? でも、メガネやコンタクトレンズは、医療費控除の対象にならないのです。これを対象に含めてしまうと、医療費控除の額が大きくなりすぎて、税収が下がってしまうので税務当局は認めないのです。

レーザー治療や、オルソケラトロジー治療を受けられるお金持ちは医療費控除が受けられるのに、そういうお金がなくてメガネやコンタクトを使っている人は医療費控除が受けられないのです。不公平な話です。で、まあ、一応、これも整理しておきますね。

セラミック歯、子供の歯の矯正も医療費控除の対象となる

虫歯の治療の時に、銀歯は健康保険の対象となりますが、セラミックは健康保険の対象となりません。セラミックは、銀歯と比べてかなり高額であり、美容の意味合いがあるので、健康保険の対象とはなっていないとされています。

しかし、セラミックは健康保険の対象にはなっていなくても、医療費控除の対象にはなっているのです。治療ではなく美容のための医療行為は、原則として医療費控除の対象にはならないはずなのですが、歯の場合は例外になっているのです。なぜそうなっているのか、筆者にはわかりません。が、せっかくなので、対象となる方は、使わない手はないでしょう。

ただ歯科医療でも、医療費控除の対象とならないものもあります。それは、「ホワイトニング大人の歯の矯正」です。これは、医療行為ではなく、美容のためとみなされて、医療費控除の対象とはならないのです。しかし、子供の歯の矯正は医療費控除の対象となるのです。これは、子供の場合は、歯の噛み合わせを治すのは、医療行為ということになっているのです。だから、歯の矯正をするのであれば、子供のうちにやっておいたほうがいいでしょう。歯科医療についても、まとめておきますね。

今年から領収書の添付が不要になった

で、医療費控除は今年から若干、仕組みが変わりました。これまで医療費控除を受けるためには、領収書を添付しなければなりませんでした。が、今年からは領収書添付の必要はなくなりました。その代わり、領収書を自分で5年間保管しておかなくてはなりません。

それと、今年からセルフメディーケーション税制というものが、新しく導入されました。セルフメディーケーション税制というのは、健康増進や疾病予防とために、一定の条件を満たした薬を購入したとき、税金が安くなるという制度です。今までの医療費控除というのは、何か具合が悪い時に、治療するための費用が対象でした。だから、健康増進や予防のための費用は対象外でした。でも、セフルメディーケーション税制というのは、健康増進や疾病予防のための薬の購入費用も含まれるようになったのです。

ただセルフメディーケーション税制を受けるためには、医療機関が定めた健康診断、予防検診などを受け、スイッチ医薬品と呼ばれる薬を購入した時に限られています。そして節税額は、セルフメディケーション医療にかかった費用が1万2,000円を超えた場合、その超えた額が所得控除されることになっています。医療費控除は、だいたい10万円以上かからないと受けられませんでしたので、金額的なハードルはかなり下がったと言えます。

が、セルフメディケーション医療の控除額の上限は8万8,000円です。医療費がそれ以上かかっても、8万8,000円で頭打ちになります。これまでの医療費控除の上限は200万円なので、セルフメディケーション医療の上限額はかなり少ないといえます。そして、このセルフメディケーション税制を使った場合は、既存の医療費控除は受けられません。だから、自分から検診などの必要性を感じて、セルフメディケーション税制を受けようと思った人以外は、普通に医療費控除を受けた方がいいでしょう。

セルフメディケーション税制は、範囲が非常に限られているので、なかなか使いづらいモノでもあるのです。

 

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元国税調査官で著書60冊以上の大村大次郎が、ギリギリまで節税する方法を伝授する有料メルマガ。自営業、経営者にオススメ。

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【著者】 大村大次郎 【月額】 初月無料!¥330(税込)/月 【発行周期】 毎月 1日・16日 発行予定

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