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安倍総理はなぜ、アメリカと反対の行動をとっても許されるのか?

安倍総理に否定的な意見をお持ちの方からよく聞かれる「アメリカの言いなりになっているだけ」という指摘。はたしてそれは事実なのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国内外の政治に詳しい北野幸伯さんが、これまでの日米外交を振り返りながら冷静に分析しています。

安倍総理は、アメリカの言いなりか???

私は、「安倍信者」ではありません。総理が推進している、

などに反対しています。それでも、安倍総理を支持しています。理由は、皆さんご存知ですね。総理は、中国の反日統一共同戦線戦略無力化」することに成功したからです。

「反日共同戦線戦略って何だ?」という方は、こちらの完全証拠をご一読ください。
反日統一共同戦線を呼びかける中国

「どうやって反日統一共同戦線戦略を無力化したのですか?」。ここでは長くなるので、書ききれません。興味のある方は、『中国に勝つ日本の大戦略』をご一読ください。山盛り証拠つきで、全部わかります。

読者の皆さん、安倍総理支持の人も、安倍総理不支持の人もいると思います。どちらにしても、それなりの理由があるのでしょう。しかし、「誤解に基づく不支持」というのもあります。たとえば、「結局、安倍さんはアメリカの言いなりじゃないか!?」という批判。これ、どうなんでしょう?

安倍総理は、「もっともアメリカの言うことを聞かない」総理

検証してみましょう。

1.日ロ関係

安倍総理、2016年に日ロ関係を劇的に改善させました。プーチンが2016年12月に来日したこと、まだ記憶に新しいですね。この日ロ関係改善、オバマ大統領は、反対だったのです。

当たり前です。彼は、「クリミア併合」後の「対ロシア制裁」を主導しているのですから。しかし、安倍総理はオバマの意向に逆らって日ロ関係を改善させました

2.TPP

オバマさんは、TPP推進派でした。しかし、トランプさんは、TPP反対派。それで、就任早々、「TPP離脱」を宣言しました。もし安倍さんが、「アメリカ追随主義者」であれば、「では、私もやめます」となったでしょう。

ところが、TPPは、なんと「アメリカ抜き」で、進められることになった。

ちなみに私は、TPPを支持していません。しかし、ここでは、「安倍総理は、アメリカ追随主義者か否か」という話をしています。

3.パリ協定離脱

2017年6月、トランプさんは、「パリ協定離脱」を宣言しました。もし安倍さんが、「アメリカ追随主義者」であれば、「では、私も離脱します」となったでしょう。

しかし、皆さんもご存知のように、日本はパリ協定から離脱していません

4.エルサレムは、イスラエルの首都??

トランプさんは2017年12月、「エルサレムは、イスラエルの首都である!」と宣言しました。

安倍さんが、「アメリカ追随主義者」であるのなら、「では、日本も、エルサレムは、イスラエルの首都と認めよう」となったでしょう。

しかし、日本は、「エルサレムはイスラエルの首都と認めていません

これは、どれも重要な問題です。重要問題で、安倍さんは、ことごとくアメリカ大統領と正反対の立場をとっている。これで、どうして、「安倍はアメリカの言いなりだ!と言えるでしょうか?

事実をいえば、「もっともアメリカの言いなりでない」のが安倍総理なのです。総理は、「自立外交を実現していると思います。

アメリカに逆らって、なおアメリカと良好な関係を保つ

戦後の歴史を見ると、「アメリカに逆らった首相」は、いました。代表的なのは、田中角栄さんですね。この方は、アメリカより先に、中国との国交を回復した。それで、キッシンジャーは、「ジャップは最悪の裏切り者!」と激怒した。

もう一人代表的な人をあげるとすれば、鳩山由紀夫さんでしょう。この方は、日米関係を、見事にぶちこわしました。鳩山政権の黒幕だった小沢さんは、北京で「私は、人民解放軍の野戦軍司令官であ~る!」と宣言しています。彼らは、アメリカに逆らいアメリカにやられました

ところが安倍さんは、重要問題でことごとくアメリカに逆らっているにも関わらず、オバマさんともトランプさんとも、いい関係を築いています。それどころか、オバマさんともトランプさんとも親友」と呼べるような立場になっている。なぜそんなことが可能なのか?

たとえば、安倍総理は2015年4月、「希望の同盟演説」をしました。この時アメリカは、「AIIB事件」で日本以外のすべての親米諸国に裏切られ、意気消沈していたのです。ところが安倍総理がやってきて、「アメリカは世界の希望です!」と言った。それで、オバマさんは喜んで、「歴史的な訪問に感謝する! 日米関係がこれほど強固だったことはかつてなかった!」とツイートした。

また、安倍さんは、トランプさんが大統領に就任する前、彼に会っています。当時、世界中(特に欧州)の指導者が、「嗚呼、変な奴がアメリカ大統領になった! どうしよう!」とオロオロしていた。しかし、安倍さんは、フットワーク軽くトランプさんに会いに行き彼のイメージアップに貢献しました。要するに、安倍総理は、オバマさんやトランプさんから信頼される言動をしているということです。それで、アメリカと違う行動をとっても叩かれないし、かなりの自由度を得ている。

というわけで、安倍総理が「アメリカの言いなり」というのは、まったく事実と異なります

image by: 安倍晋三 - Home | Facebook

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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