MAG2 NEWS MENU

リッツ・カールトンに学べ。社員の意識を変えるクレドを活用せよ

「クレド」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、その内容を正しく知り実践している企業はそう多くないようです。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんが、クレドを経営に活かす方法と、実践すると起こり始める社員の意識の変化について記しています。

クレドを経営に活かす

クレド」という言葉を聞いたことがあるでしょう。一時期、企業の「クレド」を作ることが流行りました。そして、私の知っているお店の中のいくつかは、この「クレド」を大切にしています。

「クレド」はラテン語で、もともとは宗教の信仰宣言で使われるものです。「約束」とか「信条」を意味します。近年になって、それが経営に使われ始め、「行動指針」と訳されるようになりました。そうなんです。経営上の「クレド」とは、従業員が守るべき行動のあり方を示したものです。

その「クレド」が日本で使われるようになったのはいつ頃のことでしょう。日本にリッツ・カールトンホテルが進出した時そのサービスが話題になりました。一度利用したら何度でも利用したくなるそうです。その元にあるのがクレド」だと紹介されました。そのころから、日本の企業に「クレド」が取り入れられ始めたようです。

そこで、リッツ・カールトンのホームページを見てみましょう。やはり、クレドが書いてあります。

リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。

 

私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだ、そして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。

 

リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心です。

なるほど。素晴らしいですね。このクレドをもとに、従業員の皆さんが行動をするということです。

とはいえ、これだけで簡単に行動が出来るわけではありません。実は、リッツ・カールトンには、「サービスバリューズ」というものがあります。

リッツ・カールトンの行動指針

この「サービスバリューズ」は、クレドから導き出された「従業員の心得」のようなものです。

私は、強い人間関係を築き、生涯のリッツ・カールトン・ゲストを獲得します。

という項目から始まり、

私は、お客様の願望やニーズには、言葉にされるものも、されないものも、常におこたえします。

私は、お客様の問題を自分のものとして受け止め、直ちに解決します。

私は、自分のプロフェッショナルな身だしなみ、言葉づかい、ふるまいに誇りを持ちます。

など、12の項目が掲げられています。いわゆる、これが「行動指針」というものですね。これを、リッツ・カールトンの皆さんは実行しているというわけです。それでも、これだけの言葉で、本当に「行動」ができるのでしょうか。

リッツ・カールトンは、このクレドを従業員に浸透させ実行させるには、相当の教育をしているに違いありません。私は、その現場を知っているわけではありませんが、経営努力の大きさは容易に想像できます。実際に「クレド」を作っているお店の例を見ても行動に移すことに苦労をされているからです。

そこで私は、クレドをお持ちのお店には次のようにアドバイスをしています。

クレドの活用法

まず、クレドは「経営理念」や「ミッション」と、どんな違いがあるのでしょうか。似たようなもののように感じられますね。しかし、同じではありません。

クレドは、あくまで「経営理念ミッションに基づくものです。クレドが先にあるわけではありません。もちろん、経営理念やミッションとの一貫性があるのは当然です。それを分かったうえで、クレドを活用する必要があります。

では、どうすればクレドを従業員の皆さんに浸透させ、実行してもらうことができるでしょう。例えば「私は、いつもお客様に楽しさを提供します」といったクレドがあったとします。この場合、さらに次のようなことを、具体的に考えると良いです。

これらを考えたら、クレドごとに1枚の用紙にまとめるといいでしょう。そうすれば、「指針」にもとづく、より具体的な行動を表していくことが出来ます。ただし、これは経営者一人で考えてはいけません。従業員の皆さんで話し合って決めることです。その過程で、全員揃ってクレドの共通理解がなされていきます。

とはいえ、これでもクレドの活用は、まだ十分ではありません。さらに大事なことは、クレドを浸透させることです。そのためには、どうしたら良いでしょう。一つの方法としては、「クレド発表会」を開くことです。定期的に全員が集まって、「具体的な行動を発表しあいます。行った行動が、どの「クレド」に対応しているのか、お互いに述べ合うのです。そのことによって、全員がクレドを意識して行動するようになります。このようにすれば、クレドが自分のものに、そしてお店のものになっていくのではないでしょうか。

■今日のツボ■

image by: The Ritz-Carlton, Tokyo - Home | Facebook

梅本泰則この著者の記事一覧

ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ! 』

【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け