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それでも他人事?少子化が進めば病気もできなくなるという事実

少子化問題が叫ばれだして久しいですが、その深刻度について多くの方がどこか「他人事」のように受け止めているようにも思われます。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』には、このままのペースで人口減少が進んだ場合、私たちの生活はどのような不都合・不具合に襲われてしまうのかについて記しています。

このまま人口減少が進んだら……

日本の人口減のことは、よく耳にしますが、このまま人口が減り続けてしまったら、日本は一体どうなってしまうのか? については考える機会が少ないかもしれません。

産経新聞社論説委員である河合雅司さんのお話に、その厳しい現実を突きつけられます。

意見・判断 河合雅司(産経新聞社論説委員)

戦後、一貫して増え続けてきた日本の人口が、2008年をピークに初めて減少に転じた。世間では「人口減少」とか、「少子高齢化」という言葉が盛んに飛び交うようになり、おそらく読者の皆さんの中にも、気になっている方は多いことだろう。

しかし、このまま人口が減り続けたら私たちの生活がどうなるかを、リアルにイメージできている人はまだまだ少ないのではないか。

例えば医療だ。政府は、医師不足の解消に向けて「医学部の定員数を増やす」という政策を進めてきたが、そんな単純な話では済まない。看護師から清掃スタッフまで様々な職種で人員を必要とする。さらには病院を建てる人、医薬品や医療機材を開発する人、それを運搬する人等々、医療を支える人材の裾野は相当に広い。

ところが少子化で若者が減ってくると、担い手はどんどん足りなくなり、それまで当たり前に行われていた医療が運営できなくなるのである。一方で、高齢化がさらに進めば、がんや心臓病、脳疾患など重篤な病気を患う高齢者がますます増えていくだろう。そうした病気の手術には、優れた医者や設備に加え、大量の血液が必要となる。ところが若い人が減れば献血が追いつかなくなり、手術を行うことが不可能になってしまう。

医療の分野ばかりではない。少子化による人口減少は、あらゆる方面に深刻な問題をもたらす。この頃は、「注文は殺到しているのに、人手不足だから断らざるを得ない」という経営者の嘆きをよく耳にする。企業では、働き手不足が今後ますます深刻化していくだろう。特に若い社員が減れば、企業成長の生命線ともいえる新しい発想やイノベーションが起こりにくくなり、存続が困難になる。

勤労世代の減少は、農業に携わる人の減少にも直結し深刻な食料危機にも繋がっていく。音楽やファッションなど、新たな文化の担い手も減り、金メダルを狙える有望なアスリートも極端に少なくなるなど、あらゆる分野で人材を輩出できなくなり、社会の活力が著しく損なわれていく

さらに人口減少は、警察官や自衛隊員、消防士といった若い力を必要とする仕事の人員確保にも容赦なく襲いかかる。私たちがこれまで当たり前に享受してきた「安全・安心」の確保が、足元から崩れ去ろうとしているのだ。若い力が乏しくなり、国防や治安、防災機能が低下したならば、社会の破綻に直結しよう。

2050年頃には国土の約2割が誰も住んでいない土地」に転じると予測される。さらに時代が進んで、スカスカになった日本列島の一角に、外国から大多数の人々が移り住むことになれば、武力なくして実質的に国内に外国領ができるようなものだ。

このままでは、日本という国家は早晩成り立たなくなる。私たちはこの「不都合な真実」から目を背けず、それに立ち向かっていかなければならない。

image by: yusuf madi / Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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