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トランプの静かな決断。米朝戦争の準備を裏付ける不気味な動き

平昌オリンピックを機に高まりを見せる南北朝鮮の融和ムードですが、トランプ政権は着々と軍事衝突の「準備」を整えているようです。日本の北朝鮮研究の第一人者である宮塚利雄さんが主宰するメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では、敢えて時間軸を遡ることで見えてくる「米朝戦争に至る3つの兆候」と、昨秋にあった「軍事衝突勃発間近」を裏付けるかのような米軍内の2つの大きな動きについて、米国防総省や軍事関係者等と独自のコネクションを持つモンゴル金融経済大学の古畑貴志准教授の言を交えつつ紹介しています。

米朝戦争間近か? 緊張状態前2014年からの3つの兆候と2017年秋から見られる2つの新たな米軍の動き

モンゴル金融経済大学(University of Finance and Economics in Mongolia)の古畑准教授は長年に渡って米国防省との共同研究を大学で行い、2017年夏には国防省で長年の研究結果を発表している。そのため国防省役人や様々な軍事関係者等のコネクションがある。

我々一般市民はやはり、北朝鮮と米国のとその近い将来どうなるのかというところに最も興味が向くだろう。

しかしここで敢えて時間軸を逆にさかのぼると実はかなり以前から北朝鮮韓国情勢が戦争に向かって動き出したかも知れない、そしてその兆候はかなり前からあったのではないかと推測する。それをまた遡って知ることによって新しい視点で現在の北朝鮮と米国の一触即発の状態を見ることができる。

日本にいる多くの方が現在の北朝鮮と米国への戦争になるかもしれないという雰囲気を感じ始めたのは、2017年の春頃から集中的に北朝鮮が以前よりも頻繁にミサイル実験を行い始め、日本でもメディアが連日取り上げはじめたころであろう。しかし、古畑准教授の話によると、2017年の2月、2016年、2014年にすでに戦争への3つの兆候があったのではないかという。

まず2017年春頃の段階ではおそらく日本の多くの方が戦争は本当に起こるのかどうかと何となく不安になりながらもまだすぐは起きないのではと思われた方が多かったのではないかと思う。しかし2017年秋以降のトランプ大統領のアジア歴訪金正恩氏の11月のミサイル実験再開によりおそらく戦争をかなり現実視されている方が多いと思われる。

古畑准教授の話を宮塚コリア研究所事務局が今回の新米朝戦争への兆候を3つまとめると以下のようになる。

1つ目は2017年2月13日金正男暗殺事件の怪しい点があるということである。

金正男事件の前は北朝鮮においては時々ミサイル実験のニュースが流れることはあったが現在のようなシリアスな状態とは程遠いものであったといえよう。しかしこの事件から世界メディアそして特に日本のメディアがより大きく北朝鮮に目を向けることになった。

一般的なイメージとしては突然、北朝鮮が金正男氏を暗殺したように見える。しかし一部報道では米国情報機関が北の最高指導者の兄である金正男氏を米国に亡命させようとしたと報道されている。ここで1つ逆説的で若干、飛躍的な考え方になるかもしれないが、この金正男米国亡命の情報がもし本当で金正恩氏の耳に入ったとすれば、金正男氏が米国亡命よって米国に北朝鮮の様々な情報を流すのではと金正恩氏が何かしらのアクションを亡命前に取らなくてはならず、亡命阻止をすべきという状況を作り出してしまったかもしれない。しかもこの米国亡命プランが本当だとしても結果的に亡命する前に金正男氏は暗殺されてしまったといえる。

米情報機関がなぜこんなヘマをしたのか。ひょっとすると米国情報機関は金正男を亡命させるという情報をわざと流すことによって暗殺される方を選んだかもしれない。つまり米国情報機関はこの「金正男」氏の亡命の画策をわざと周辺国に流した可能性も否めない。

しかし1つだけ確かなのは「金正男」氏の暗殺事件が世界に報道されることで北朝鮮は以前よりもさらにならず者国家ということを自ら宣伝してしまい、結果的に我々にとって「北朝鮮は攻撃されても仕方のない悪者」、つまり戦争が起きても仕方がないのではないかという流れになる大きな最初の岐点になったのではないだろうか。

2つ目は、まだ現在のような緊張状態とは程遠い2016年春の段階で韓国国内では戦争が近づいているという噂が流れていたということである。

古畑氏が、「知り合いの韓国人の方が2016年春頃にお会いした際に『韓国では戦争がそのうち起こるかもしれないという噂があり心配だ』と教えてくれた。当時は北朝鮮のミサイル実験は現在ほど頻繁ではなく、日本でも戦争になるという雰囲気はまったくなかった。その友人は根拠もなく、そのような事を言う人ではないので気になっていたが、しばらくは忘れていました」

しかし、現在米国と北朝鮮がこのような緊張状態になるとは古畑氏自身も思いもよらなかったことであるという。そして韓国内では現在のような誰もが戦争を心配してしまうような状態をすでに予想できていた人間が何人かいたという証拠にもなるかもしれない。

3つ目は2014年までさかのぼるが、シティバンクが2014年から韓国撤退を始めていたということだ。シティバンクは当然米国資本の大銀行の1つである。この動きは「戦争前に儲けて戦争開始前に逃げる」を象徴するものかもしれない。もちろん、シティバンクのような外資が韓国国内の経済を実体のない好景気(バブル)を作為して大儲けをした後である。

しかしながら、戦争準備ができたということと、実際に戦争をするのはまた別であるが、以前とはまったく違うステージに入ったのは2017年の秋頃からだという。

さらに加えて2017年の秋に2つ表にはあまり出ていない新たな米軍の動きがあったという。

この昨秋にあった新たな2つの動きを紹介すると、その1つ目は軍警察が秋の初め頃から米国本土内の勤務から韓国内勤務に急遽変わった人間がいる。軍警察とは米国軍基地内での警察を指す、つまり米軍兵士相手の警察ということになる。外国の米軍基地での軍警察の増員がどういう意味を指すかといえば、米軍が兵士の死をより現実のものとして覚悟しているということだ。

なぜかというと、すぐ前線に立つような兵士がその場に増員された場合、明日の死をもしれないので犯罪を犯す可能性は一般兵士よりもずっと高いからなのだ。

2つ目は、2017年10月に入り米国内の空港において深夜の追加便で韓国入りする米軍兵士たちのグループがいたことである。米軍兵士が米国本土を離れて外国に移るということはその場所で暮らさなくてはならない。同じ本人が米国で暮らすよりも、米国自身にとってもより高い経費がかかる。つまり人間を現地に以前よりも大量に送るということは色々な事象を米軍が覚悟していることが読み取れるだろう。

これらの事象を古畑氏と宮塚コリア研究所事務局が共同で整理すると、時間軸は下記のようになる。

このようにしてまとめて見ると、「北朝鮮の動きは米国に対して確実に『戦争の口実』を与え続け、そして米国は戦争開始に向けて着々と準備を整えているように感じる」と語った。そして2017年の9、10月に兵士そして軍警察の移動が始まったというのはその時点から以前とはまったく違う戦争開始により近づいたステージに上ったといえるのではないか。

米国と北朝鮮の戦争は避けられないのか注目である。

(古畑貴志、トッド ツォグト ダバツレン、ツバンボラー ダバー、石田健二、福井和美、宮塚コリア研究所事務局)

古畑貴志Takashi Furuhata
Ph.D 米国ワシントン大学にて統計学で博士号取得、同大学で後輩のボブサップの通訳を務めたことも。ハワイ大学、ユタ大学での米国国防総省との共同研究から米国軍関係にコネクションを持つ、日本三大総合商社の1つでマネージャーを経験、キックボクシングのプロライセンスを持つ。在米生活19年、モンゴル金融経済大学(University of Finance and Economics in Mongolia)准教授。

トッド ツォグト ダバツレンTodd Tsogt Davaatseren
モンゴル ウランバートル出身 モンゴル国立大学 会計学専攻

ツバンボラー ダバーTseveenbolor Davaa
モンゴル ウランバートル出身 米国ユタ大学 経済学博士号取得

石田健二
宮塚コリア研究所事務局長

福井和美
宮塚コリア研究所事務局

 

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元山梨学院大学教授の宮塚利雄が、甲府に立ち上げた宮塚コリア研究所から送るメールマガジンです。北朝鮮情勢を中心にアジア全般を含めた情勢分析を独特の切り口で披露します。また朝鮮半島と日本の関わりや話題についてもゼミ、そして雑感もふくめ展開していきます。テレビなどのメディアでは決して話せないマル秘情報もお届けします。長年の研究対象である焼肉やパチンコだけではなく、ディープな在日朝鮮・韓国社会についての見識や朝鮮総連と民団のイロハなどについても語ります。

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