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青学の原監督が明かす、強い組織を作るための4ステージ指導法

伊調馨選手への強化本部長によるパワハラ問題は、レスリング協会内部だけにとどまらず、日本中を騒然とさせています。無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者でスポーツ業界に30年以上の関わりを持つ梅本泰則さんは、その原因に「日本的な指導法」があるのではと推察した上で、青山学院大学陸上部を強豪へと成長させた原晋監督の理論的で科学的な指導法を紹介しています。

近代的な指導者が業界を救う

レスリング協会がパワハラ問題で揺れています。事の真偽や良し悪しはともかくとして指導者と選手の問題は重要です。

この問題は、日本的な指導法が原因なのかもしれません。今回は、そのことについて考えてみます。

日本流指導法

コーチや監督が選手を育てるのは、簡単なことではありません。全国には、優れた監督やコーチがいます。それでも、パワハラ問題が後を絶ちません。何故でしょうか。一つの原因として、指導者の指導方法が時流に合ってきていないということが考えられます。

日本のスポーツは、学校体育をベースとして発展してきました。そして、知名度をあげたり優秀な学生を集めるためにスポーツの力を借りた学校も多くあります。その筆頭は、何といっても高校野球。高校サッカー、ラグビー、バレーボールと続いていきます。また、大学の知名度を上げるには、野球やラグビーもありますが、箱根駅伝にはかないません。

このように、多くのスポーツ強化は学校をベースにしています。そのため、どの学校も3年間または4年間という短い期間でチーム作りをしなければなりません。そうしたチームを強くするには、それなりの指導力が必要です。ですから、甲子園で良い成績を残す監督は名監督といわれます。大学でも同じです。

では、そうした学校の監督やコーチは、どのような指導法をとっているのでしょうか。もちろん、監督コーチそれぞれにやり方は違うでしょうが選手にはかなりハードな練習をさせているに違いありません。限られた期間での結果を求められているからです。

その指導方は、科学的な理論に基づいたものでしょうか。それとも、日本的な根性論をベースにしたものなのでしょうか。一流の監督コーチは別として、日本の多くの監督コーチは、伝統的な日本流指導法を行っているのだと思います。そんな中で、面白い記事を見つけました。

野球離れの原因

東洋経済オンラインに載った、Dena筒香選手の話です。

DeNA筒香「球界の変わらない体質」にモノ申す

この中で筒香選手は、子供の野球離れの原因について述べています。結論から言いますと、野球離れが起こっている原因は指導者の指導法にある、ということです。横浜高校で厳しい指導を受け、プロでも大活躍している選手が言うのですから重みがあります。

筒香選手は「野球界はむかしのままで少しも変わっていない」ことが、野球人口が減ってきている要因だと言っています。そして、「勝利至上主義」のために、「子供たちは楽しそうに野球をやっていない」と思うことが多いそうです。

また、「子供たちは大人、指導者の顔色を見てプレーをしている」、そして「怒られないようにプレーをしている」と指摘します。さらに、「答えを指導者や親が与えすぎるので、子供たちは指示待ちの行動しかできない」と感じているそうです。

この筒香選手の発言は、素晴らしいと思いませんか。日本の指導者の指導法にモノ申しているのです。自分で考えながら楽しくプレーをするような指導をせよ、と言っています。

実は、そんな指導法を行っている監督の話を聞くことができました。それは、箱根駅伝4連覇を達成させた、青山学院陸上部の原晋監督です。青学がこんなに強くなるとは、誰が予想していたでしょうか。しかも、原晋監督は、陸上選手時代もほとんど無名でした。その彼が取り入れた指導法は、実に理論的で科学的なものです。その中から、今回のテーマに合った指導法を一つだけ紹介します。

新しい指導法

それは、選手の指導レベルを4つのステージに分ける、というものです。正確ではないかもしれませんが、次の4つのステージだと話されたと記憶しています。

第1ステージは「上意下達」。核となる監督の考えを選手に伝える段階です。

第2ステージは「自覚期」。監督の考えを選手が自覚する段階です。

第3ステージは「コーチング期」。監督の考えや指示が本当に浸透していく段階です。

第4ステージは「自立期」。選手が自ら考え、その自主性にまかせる段階です。

つまり、指導者は、最初から最後まで手取り足取り教えません。目標は、選手自身で考えられるようにすることです。これは、大学生だけでなく、中高生の指導にも当てはまることでしょう。

おそらく、日本の多くの指導者は、第1ステージにとどまっているのではないでしょうか。そして、原監督のような指導が出来れば、筒香選手の言う、自ら考えて楽しくプレーが出来る選手になれるはずです。

一方、平昌五輪でメダルを取った選手やチームには、海外のコーチの指導を受けている人たちが目立ちます。コーチの指導法や考え方が、日本とは違って科学的で論理的です。JリーグやBリーグでも、外人の監督コーチが増えています。そこでは、根性論やしごきは見られません。そろそろ、日本の指導者もそうした指導法を学ぶべきです。

そのために、スポーツショップとして出来ることはないでしょうか。地元の監督やコーチを集めて科学的指導法を伝える勉強の場をもうけるのも一つの方法です。思い切って、原監督や外国人コーチに、講師をお願いしてはどうでしょう。熱意が伝われば、きっと受けてくれるはずです。

いずれにしても、近代的な指導者が増えれば楽しんでスポーツをする子供が増えます。そうすれば、少子化といえども、スポーツを楽しむ子供が増えてお店の商品が売れる、というわけです。監督やコーチに、そうした機会を提供するのも、スポーツショップの役目ではないでしょうか。

■今日のツボ■

image by: Shutterstock.com

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ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

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【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

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