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親子で考えたい、Youtuberの登場で歪められた「自由の概念」

「子どもが将来なりたい職業」の第3位に選ばれたYouTuberなどの動画投稿者。人気が出れば年収800万円程度、トップクラスになると1億円以上も稼ぐと言われていますが、無料メルマガ『人間をとことん考える(人間論)』の著者で臨床心理にも詳しい薬剤師の小原一将さんは、「彼らの登場で、自由という言葉の概念が捻じ曲げられている」とし、今の時代に必要な教育について持論を展開しています。

自由を教える必要性

自由という概念はあまりに一人歩きしすぎて人それぞれ解釈が違うだろう。もしかしたら、自分の思うままに何でもすることができて楽園のような状態と思っている人もいるかもしれない。残念ながらそれは全く当てはまらない。

自由は不自由の中に存在する。自由というのは何をしても許されることではない制限された中で得られるものが自由なのだ。

もし、それは本当の自由ではないと思う人がいるなら、言葉通りの自由を考えてみたら良いだろう。法律や道徳、常識や文化など全てに制限がなくそれぞれが好き勝手に行動する。少し考えただけでも分かると思うが、それは自由ではなく混沌である。

こういった自由についての議論が子どもの頃にあまりにも少ないように感じている。親が自由に遊んでいいよと言ったとすると、それは親の監視下における中での自由を与えられる。自由にお菓子を選んで良いと言われたら、親の資産内かつそのスーパーの品ぞろえの中ということになる。

完全なる自由など絶対にあり得ない。何をして遊んでも良いと言われても子どもであれば親に怒られない程度、自分たちの金銭の範囲内、そして自分たちの想像が及ぶところまでとなる。

自由とは言いながらいくつかの壁がありその壁を超えないようにしたり、または怖いもの見たさで少し超えてみるような感覚がとても重要になると思っている。

ただ、最近の自由という言葉の風潮は某動画投稿コンテンツに出演する人たちの行いのように、自分が考える自由だったり自分の周りが受け入れてくれるから良いといった解釈が多いように感じる。

情報における格差がなくなり、子どもでも大人でも同一の情報に時間差なくアクセスできるようになっている。そうなるとこれまでとは違った教育が必要になるのではないだろうか。

私たちは教育というと知識を増やし、苦難に耐えるためのメンタルを養うためのものだと思っている。もちろんそういった側面はある。しかし、そういった教育というものは人口が増えていくという前提で経済成長を促すために作られたものであるとも言える。

資本主義という土俵で個人ではなく日本というチームで戦うためにはそのような戦略はあり得た。だが、時代は変化している。

先人たちの力により成熟した国に私たちは住むことができている。このような国では、知識を詰め込むだけではなく上記した「自由」といったような抽象的な概念を再定義し子どもたちに考えさせる必要があるのではないだろうか。

こういった答えの出にくい議論を、学校や家庭などでしっかりと行ってもらいたい。それは必ず子どもにとって財産になるはずだ。

image by: Shutterstock

小原一将この著者の記事一覧

■医師を目指して二浪したが実力不足のために薬学部へ。しかし、薬学には全く魅力を感じられなかった。哲学や心理学などの本を読み漁り、サークル活動やフリーペーパー作成など大学生活を薬学以外に費やした。 ■薬剤師資格を持たないまま卒業し、臨床心理士を養成する大学院へ進学。しかし、臨床心理学の現状に落胆。 ■薬学の勉強をし直して薬剤師資格を取得。薬局に勤務し今に至る。 人間とは何を考え、どのように行動するべきなのかを大学生活の4年間で考え抜いた。友情や恋愛、道徳や倫理などジャンルにとらわれないものを提供する。

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【著者】 小原一将 【発行周期】 毎月1,11,21,日

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