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水鳥を眺めながら満ち足りた気分に。京都「勧修寺」で穴場の花見

そろそろ桜の季節がやってきます。京の町を散策しながら桜見物はいかがでしょうか?「でも、桜の季節は混雑するから…」と諦めるなかれ。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』で著者の英学(はなぶさ がく)さんが、本当は誰にも教えたくないという知る人ぞ知る桜の名所「勧修寺」を、魅力たっぷりにご紹介します。

勧修寺

勧修寺は「かんしゅうじ」ではなく、「かじゅうじ」と呼びます。山科はJR京都駅からひと駅で、市内中心部のすぐ隣に位置し、京都屈指の桜の名所です。山科は太閤秀吉の「醍醐の花見」で有名な醍醐寺、小野小町ゆかりの随心院や、紅葉でも有名な毘沙門堂などの名所で有名な場所が少なくありません。

桜の季節は、醍醐寺はとても混雑しますが、勧修寺は、広々とした境内でゆっくりお花見が出来ます。知る人ぞ知る穴場だったんですが、今年春のJR東海「そうだ、京都行こう」のCMに使われてしまいました。ただ桜以外にも見どころ満載なので、今回はその魅力をご案内致します。

まず行き方ですが、JR山科駅から京都市営地下鉄東西線に乗り換えて3駅、小野駅下車徒歩約6分です。

勧修寺は、平安中期、900年に醍醐天皇の母・藤原胤子(つぎこ)の菩提を弔うために建てられました。当時胤子の祖父・宮道弥益(みやじいやます)の邸宅だった場所に醍醐天皇が祈願所として建てた門跡寺院です。真言宗山階派の大本山のお寺でもあります。

縁結びの寺

勧修寺は、醍醐天皇の母の両親が出会ったロマンスの場所です。「今昔物語集」に描かれている藤原高藤(ふじわらのたかふじ)と宮道列子(みやじのつらこ)が運命的な出会いをした場所です。この二人の間に生まれたのが、醍醐天皇の生母となる藤原胤子です。

勧修寺は、いわゆる洛中の有名寺院のような多くの人を惹きつける派手さはないかも知れません。しかし、質朴な雰囲気の中にどこか王朝の典雅さが感じられるところがこのお寺の何とも言えない魅力となっています。

見どころ

門をくぐると「氷室(ひむろ)の池」を中心に池泉回遊式庭園が広がります。周囲の山を借景した広大な自然美が目に飛び込んできます。晴れた日などはいつ行ってもとても清々しい気持ちにさせてくれます。

桜の季節の美しさはもちろんソメイヨシノヘイアンシダレザクラボタンザクラなどが柔らかい日差しと共に温かく迎えてくれます。

日本一水鳥が多い寺

池の中央にある中の島は夕方琵琶湖から帰ってくる水鳥の住処となっています。そのため水鳥を目当てに野鳥の会や、カメラ好きの方も多く訪れると言います。

この氷室の池は平安時代、この池に張る氷の厚さでその年の農作物の豊凶が占われたことがその名前の由来となっています。

勧修寺型灯篭

見逃さないでいただきたいのは、書院の前庭にある石灯籠です。水戸光圀公の寄進で、「勧修寺型灯篭」と呼ばれる傘が平べったくて、面積が広いとても個性的なスタイルの籠なので必見ですよ。この灯籠を覆うように生えている「ハイビャクシン」は、 樹齢750年と言われる、日本無双の名木としても有名だそうです。

水戸光圀公は、大日本史を編纂するために京都のお寺などにはよく訪れていたようです。龍安寺の庭にも侘助の側に「吾唯足知のつくばいがありますが、これなども光圀公から寄進されたものです。

吾は唯足を知る」と読みます。禅の教えで、「私は満ち足りていることだけを知っている」という意味です。「だれもが自らの内に全てをもっていることを知るべし」という教えです。不必要な欲望を持てば不満ばかりを感じて満ち足りた幸せな気持にはなれませんよね。

立ち寄り

太閤秀吉が贅を尽くした「醍醐の花見」は当時では盛大なお花見でした。そんな花見の舞台となった、世界遺産・醍醐寺へは歩いて30分ぐらいです。小野小町ゆかりの随心院へ立ち寄りながら、うららかな春の日和を散策してみてはいかがでしょうか?

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: 京都フリー素材集

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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