普段大きな疑いもなく使ってはいるものの、ふと考えると「間違ってるかも…」と心配になってしまうような言葉、ありますよね。今回の無料メルマガ『仕事美人のメール作法』では著者の神垣あゆみさんが、読者の方の質問に回答する形でそんなワードについて解説しています。
「お墨付き」と「折り紙付き」
■質問
「お墨付き」と「折り紙付き」は、どう違うのでしょうか?
(読者 R.Sさん)
■回答
「お墨付き」とは、権威や地位のある人からもらった保証。かつて、幕府や大名が家来に与えた証明書、墨で花押(かおう)という図案のような署名を押した文書に由来します。
対して「折り紙付き」とは、絶対に間違いないと信頼するに足る、保証付きという意味。書画や骨董に付ける鑑定書として、奉書や鳥の子紙などを折って用いたことから転じた言葉です。
権威や力を持つ人が「これで良い」と認める時に用いるのが「お墨付き」。
例)書の先生からお墨付きをいただいた作品です。
その人物やその人の持つ能力が十分に信用できる場合に用いるのが「折り紙付き」です。
例)佐藤さんの書の腕前は折り紙付きだ。
誰が認めたかに重点を置くのが「お墨付き」で、その人や物が優れていることを指すのが「折り紙付き」という違いがあります。
「準じる」と「準ずる」
■質問
社内用の文書を手直し中に、「当社就業規則に準じるものとする」という文言があり、「準じる」と「準ずる」どちらが適切なのかな、と疑問に感じました。
「準ずるはただの言い間違い」とする意見もあれば、「本来は準ずるだったのが、準じるに移行してきている」という意見もあり、結局のところよくわかりません。
辞書によっては、「準ずる」のほうに意味が記載してあり、「準じる」には「準ずるに同じ」と記載されていたりします。ということは、準ずるのほうが正しいのか…? と思ったり。神垣さんの見解を教えていただければ幸いです。
(読者 A.Aさん)
■回答
辞書によって「準じる」と同じ意が「準ずる」とするものと「準ずる」と同じ意が「準じる」とするものがあるようです。
「準じる」は自動詞の上一段活用で「準ずる」は自動詞のサ行変格活用という活用の違いだけで、意味は同じ、あるものを基準にしてそれに倣うことを指します。どちらを使っても間違いではなさそうです。
共同通信社「記者ハンドブック」では「準じる」で統一されています。新聞表記に従えば「準じる」とするのが適切ですが、社内で使う場合、「準じる」でも、「準ずる」でもどちらかに表記を統一していればどちらでも差し支えないと考えます。
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