エリート官僚・佐川氏が真面目に繰り広げた「証言拒否」の茶番劇

 

佐川氏は退職後、政府関係者とは会っていないと言うが、電話やメールで連絡を取り合うことは可能である。今回の証人喚問で、トップバッターとして登場した自民党の丸川珠代氏が、あまりにもあからさまに、シナリオ通りのやりとりを佐川氏と繰り広げたのには、いささか驚いた。

決裁文書改ざんについて。

丸川 「安倍総理の指示はなかったですね?」
佐川 「ありませんでした」
丸川 「安倍総理夫人からの指示もありませんでしたね?」
佐川 「ございませんでした」
丸川 「官房長官、副長官、秘書官からの指示は?」
佐川 「ございませんでした」

森友学園への国有地払い下げに関係しているかどうかという話ではない。あくまで決裁文書改ざんについてのやりとりだが、全てにわたって関与がなかったかのようなイメージづくりを企図しているのは明白だ。

自民党はいまだ佐川氏を手のうちに入れている。佐川氏も、かねてより部下からの評判はすこぶる悪いが、スケープゴートのようにされて、財務省内に同情論がないわけでもない。自民党や財務省とのつながりさえキープしておけば浮かぶ瀬もあると高をくくっているようだ。

もちろん、そんなにうまくいくとは限らない。世間の冷たさを知らないまま歩んできた超エリートの限界だろうか。

佐川氏は2016年6月17日、理財局長になった。森友学園と国有地売買契約が結ばれたのは直後の同年6月20日だが、佐川氏はこの件について前任の迫田英典氏から引き継ぎを受けていなかったという。

迫田氏はこの件について、「報告を受けたことがない」と昨年3月の参院予算委員会で語った。しかし、国有地の売却結果は原則として公表しなければならないのに、これ一件のみが非公表だったのである。何らかの特別な理由があるから非公表なのであり、迫田氏が報告を受けていなかったというのも怪しい証言である。

財務省が1億3,400万円という売却額を開示したのは昨年2月10日だった。進んで自ら公表したのではない。その前日、豊中市の木村真市議の情報公開請求に呼応するかたちで朝日新聞が初めて森友疑惑を報じ、1億3,400万円という数字を明らかにしたため、隠し通せなくなったのだ。

非公表から公表に転じるという異例なケース。この時の理財局長はもちろん佐川氏だ。しかも、朝日新聞が森友疑惑をスクープした直後の決断に佐川局長が関わらず、部下に任せたまま放っておいたとしたら、職務怠慢である。

報道を受けて、佐川局長は土地売却に至る経緯の書かれた資料を本省の国有財産担当者に出させ、説明を受けただろう。決裁文書は当然、パソコンでも閲覧できるはずである。

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