経営をするうえで一番大事なものとはなんでしょうか? メルマガ『ビジネス真実践』の著者で営業・マーケティング戦略コンサルタントの中久保浩平さんは「理念である」と断言します。経験に裏付けられたその理由とは?
理念はやっぱり必要
経営していくうえで、最も重要なものは、理念であるとつくづく思う今日この頃です。また、これまでにどのようなクライアントにもその重要性や必要性を伝えてきました。
理念がなくては将来的なビジョンも描けないので事業計画も立てれない、人財も育たないし、市場や顧客からも支持されません。と、コンサルティングをすればするほど思うのです。
ちなみに理念とは「理性によって得た最高の概念」という意味です。つまり、その人の価値観や物事についての独自の考えが主体ということになります。そう、誰もがもっている主観です。
経営者としては、それを会社の考え、方針として明確に社内外ともに伝達していくことが重要である、ということは言うまでもありません。価値観というものを端的に伝えていくことでその企業、そのお店、その人に集まってくる人が決まってきます。なぜなら、その価値観に感銘を受けたり、共感を覚える人で括られるからです。
少し乱暴な言い方になりますが、「当店のお客さんはこうあるべきだ」ということを伝えていくとそのようなお客さんが集まるし、「このような考えの下、○○な人材を求めている」と伝えていくと、そのようなスタッフが集まる。つまり、価値観、物事の考えというものを端的に情報化し、それを発信していくことで、理念はフィルターの役割を果たします。
フィルターの役割を果たす事によって、価値を下げることなく(ブレない一貫性のある情報により)、お客様であったり、人材であったりと来て欲しいと思う人が集まるようになってきます。これこそが、マーケティングの本質的な部分であり、実践すべきことです。
以前、こんなことがありました。新規のクライアントで、スタッフが定着せず売上が低下し困っているというご相談でした。その経営者に「会社としての理念はありますか?」って尋ねたところ、「そんなものありませんよ。そんなものなくてもこれまでやってきましたから」とのこと。これまで、それでなんとか会社がまわっていたことが、
- 人が育たずスグ辞める
- それが業績に響いているということが問題である
ということに気づかせなかったのです。理念なき会社(組織)では、ベクトルがバラバラになり社内で十分かつ必要なコミュニケーションがとれません。そんな環境下で人が育たないのも当然です。入れ替わりが激しくなるのも当然です。そして、担当者がコロコロ代わる会社を顧客は信用しなくなります。このことがモロに響くのです。
日本の企業の倒産原因のトップは販売不振で約70%です。販売不振の原因は色々でしょうが、売上低下ということが密接であることには変わりません。その低下を招いている一端が、理念なき経営、といえます。
御社では、理念が全スタッフに浸透していますか? あるいは、市場や顧客へ情報として明確に伝えることができていますか?
■今日のまとめ
『理念を情報化し浸透させる。』
- 自社の理念を書き出す。
- 理念を社内外へ伝えていく手段を書き出す。
- 上記2点を即実践する。
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