さまざまな動画サイトで数々の実験動画に関わって人気動画のネタを後押ししている、無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』の著者で科学者のくられさん。今回は「火遊びの舞台裏」と題して、カメラの外で行われている火を使った実験動画の作る際の防火対策について記しています。
火遊びの舞台裏
炎を使った実験は面白いですが、当然、炎という予測不可能な事態を起こすモノを扱うわけですから安全には十分に注意を払っています。それでも100%安全というものは存在しない。不慮の何らかがおきて、事故や怪我に繋がることは残念ながらゼロとは言い切れない。ただ、限りなくゼロに近づけ、万一の事態が起きた場合も最小限の被害で済ませられるための準備は必要というわけで、今回は火遊びの周り、カメラの外で何をやっているかという話。
大げさなくらいに対策は講じておくのは必須である。
消火器
粉末タイプは卓上では部屋中に粉をぶちまけてしまうので、際だって高火力の実験以外であれば、二酸化炭素式のものを準備、大火力になれば3、4本は用意する。予備として粉末式ものを2本用意しておけば万全。なにより、消火器は使い方を事前に知っておかないといけないので、1本使ってしまうのがはばかられる場合は、動画サイトなどでタイプ別の使い方などを見て予習するとよい。
火ばさみ・ゴミ箱
卓上で扱うもので燃え広がってしまうものなどを扱う際に、燃えない金属製のゴミ箱に火ばさみが1つあるだけでかなり心強い。金属製のゴミ箱といっても、金属製のペール缶などで十分。ペール缶はガソリンスタンドなどに言えば、無料でもらえることも多い。万一予期せず燃え始めた実験器具や布なんかを、ガラス器具ごと、投げ込んでフタをして窒息消火させることができる。当然、燃えにくいフタが望ましいが、ホームセンターなどで投げ売られている端材の分厚い木の板などで十分。
トレイ
火消しというより可燃性のものを扱う際に、ホームセンターなどで売られている、金属やホーロー製の広いバットやトレイを使い、万一割れたり燃料が漏れて燃えてもその中以上に被害が広がらないための工夫として便利。炎用の流れだし防止柵のようなもの。自分はアルコールランプや溶媒の加熱さえ、装置全体をバットのなかで完結するように工夫しています。
水バケツ(砂バケツ)
水バケツは、屋内でも屋外の実験でも必須。自分は必ず最低2つくらいは用意しておく。必ず大きなバケツにバスタオルをいれている。濡れたバスタオルは、燃える機材を上から覆えば最小限被害で窒息消火させられるし、二酸化炭素消火器とあわせると極めて効率的に火を消すことができる。水をかけて消火が困難なものは、砂をいれたバケツを複数個用意するといい。
あとは当然燃えやすいモノが無いかチェック、また化学反応して発火するもの、温度によって高圧になるものはないか…諸々、常にそこまでしなくてもいいんじゃない? くらいの確認を指さしで行っています。そうでなければ、うっかりした気の迷いから手を抜いて大やけど…ということにもなってしまうわけで…。
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