居酒屋などでよく見かける、元気が有り余っているハイテンションな店員さん。そんな、見ているだけで自然と笑顔になれるような元気な店員さんには学ぶところがたくさんあると語るのは、無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん。店内が元気に溢れていると、いったいどんな効果があるのでしょうか?
テンションを下げたいお客様はいない
私がよく通っている居酒屋に、ある新人の女の子がいます。
その子は歳も若いアルバイトの子なのですが、驚くほど、一般的な知識を持っておらず、社会経験もほとんどありません。出来上がったお刺身を運ぶ際にも、「このお魚何ですか?」と毎回聞いています。先日も、「USAって何ですか?」と真顔で言っていました。アメリカのことだと知った後も、「アメリカのどこにあるんですか?」と言っていたそうです。結構、衝撃的ですよね(汗)。
普通の会話が噛み合わないレベルの子なのですが、私自身は、嫌な思いをしているかというと、まったくそんなことはありません。むしろ、店に行くと良い気分になれます。そして周りのお客様も、一様にみんな笑顔でその子を見守っています。
なぜなら、その女の子がとにかく元気なのです。
いつ顔を合わせても、必ず元気に挨拶してくれますし、どれだけ店内が混んで忙しい時でも、必ず元気にオーダーを読み上げています。笑顔は絶えないし、どのテーブルに行っても、必ずお客様と何かしら会話をしています。その全てが、とにかく明るく元気で、たとえ会話が噛み合わなくても聞いていて面白いし、嫌な気持ちになることがありません。
接客業において、これはとても学ぶべきことだと感じます。お客様は、店に行く時にいろんな期待をしていますよね。
「あの商品が欲しい」
「あれが食べたい」
「〇〇さんに接客してもらいたい」
人によって期待の内容は変わるのですが、逆に、絶対に期待されていないこともあります。「テンションを下げたい」と期待して、店に行く人は一人もいないのです。たとえどんなお店に行くとしても、「今日は私のテンションを下げて欲しい」なんてわざわざ思いながら店へ行く人など、一人も存在していません(そういう専門の店もあるかもしれませんが)。
にも関わらず、お店へ行ってテンションが下がってしまうことは少なくありません。その理由の一つが、元気です。
せっかく何かしらの期待を持って店へ行ったのに、店員の元気が無さすぎて、買い物をしていても食事をしていても楽しくない。せっかく良い買い物ができそうだったのに、店員の受け答えが暗すぎて、買う気が萎えてしまった。
そんな話はよく聞きますよね。私もそんな体験をしたことは、幾度となくあります。
そう考えると、元気でいることは、どんなお店にとっても基本的な要素だと言えます。元気な販売員と、元気のない販売員とでは、どう考えても、お客様は前者に接客してもらいたいのです。
もちろん、お店によっては、“いわゆる元気”な接客が求められない場合もあります。声が大きいとか、やたらと笑うとか、そういうことが合わない店もあるわけです。
しかし、それらが合わないからと言って、元気のない接客をするべきかというと、それはまた話が違います。どういうスタイルのお店であれ、元気の有る無しは、細かい表情や仕草や言葉に表れます。そこにはやっぱり、お客様のテンションを下げるような元気のない接客が求められることはないのです。
自店に来られるお客様のテンションを下げる一因に、自分たちスタッフが元気かどうかが関わってはいないでしょうか? もし、元気ではないことが原因で、お客様のテンションを下げるようなことが起きていたとしたら、どんな形で元気な接客を表現することが求められますか?
今日のおさらいです。
- 元気であることは、良い接客の基本的な要素。
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