羽生善治から学ぶ 「ミスしない」より「重ねない」ことの大切さ

 

いろは歌留多の「犬も歩けば棒に当たる」ではありませんが、みなさんは仕事やスポーツで極力ミスを避けようとしていませんか? 実は棋士で永世名人の羽生善治さんでさえ、対局で毎回といっていいほどミスを経験しているそうです。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者の松尾英明さんが、羽生名人に学ぶ「ミスをしない」ことより「ミスを重ねない」ことの大切さについて解説しています。

羽生善治氏のミス考察

何度もおすすめして紹介している「みやちゅう」こと「みやざき中央新聞」2736号からの記事。

ここ4回ほど連載されている、棋士で永世名人の資格を持つ羽生善治氏の記事である。これが面白すぎたので、紹介したい。

棋士の方の書いた記事や本というのは、面白いものが多い気がする。論理的である一方、直感的である。文章がぎりぎりの勝負の実感に基づいており、迫力がある。読んでいてどきどきする。

羽生氏曰く、大事なのは「ミスをしない」ことではなく「ミスを重ねない」ということ。羽生氏ほどの人であっても、対戦を終えて「今日はどこも悪くなかった」と思えるのは、1年で1回あるかないかだという。「完璧」と思われる永世名人ですら、これである。いわんや私のような凡人が、である。

ミスを重ねてしまう原因は二つ。

1.気持ちの動揺

2.難易度が上がる

1.は、後悔によって、冷静さを欠くから。2.は、1.によって、それまでの考えや予想が崩れ、未来の方針も見えづらくなるから。対策としては、「一息つくこと」と「反省と検証は後回しにする」。ミスの最中に後悔しても、「はまる」だけである。要は、とりあえず置いておき、今の状況に集中することを心がける。

他にも、ミスについての考察がある。こちらが先にミスすることによって、相手のミスを誘発して、勝つこともあるという。30年経って気付くミスもあるという。それはつまり、今の自分にもミスがあるかもしれないということにつながる。

ミスへの考察も、さすがの羽生氏である。これは、ぎりぎりの真剣勝負を続けている人にしか書けないと思う。うなりまくりの記事である。

ミスは必要。曰く「自分なりに許容していくことが大事」。

学級づくりも同様である。「荒れない学級」を目指すのではない。ミスをしないことよりも、ミスも含めて自分の学級づくりである。理想を目指せば、ミスは「必修科目」である。「永世名人」が誰よりも多くミスを体験しているのだから、ここだけは間違いない。

犬も歩けば、棒に当たる。ケガしたくなければ、中に引っ込んでればいいと考える。しかし、外に出ないことほど、危険なことはない。ずっと「安全地帯」に引っ込んでいることは、リスクマネジメントの視点からいくと、最悪の手である。外を歩くからこそ、世界が広がるし、様々な危険にも対応できるようになる。

ミスをしない人生でなく、ミスも含めた自分のチャレンジを肯定していきたい。

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【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

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