【書評】日本人は知らない、中国が経済成長で失った「正しさ」

 

アメリカはソ連に軍拡競争を仕掛け、ソ連の経済を崩壊させた。あらゆる手段を講じて日本経済の弱体化をはかった。そして、今は中国が挑戦者であるが、案外あっさり片が付くと筆者は考える。中国には国家戦略が皆無であるからだ。戸籍アパルトヘイトのような低劣な内政をとり続ける中国は、外交も低劣だ。

中華思想に染まった保守派を満足させるためには、子供っぽい外交をくりかえすしかない。保守派は世界の現状や外交のあり方などが理解できない。外交当局が相手を見下すような発言をしたりすると、何となく快感を得るのだろう。こんな国が、外交において百戦錬磨のアングロサクソン国家に敵うはずがない。

日本が中国との本格的な戦いを避けるには、尖閣諸島において緒戦で成果を挙げることが重要であり、長期戦を考える必要はない。中国はメンツの国。中国軍が緒戦で敗れると、それを理由にして習近平に面従腹背していた連中が暗躍し始め、中国軍は絶対に攻めてこない。習近平が本当に恐れているのは、日本ではなく彼らなのだ。緒戦で大きく敗れれば、習近平は失脚する可能性が高い。

現在でも中国は徹底的な学歴社会である。その原因は科挙が作った。科挙とは隋王朝時代に生まれたシステムで、この試験に合格した官僚だけが、皇帝の代理として行政を執り行うことができる。そんなことを1,000年も続けてきたので、科挙は人々の考えに深く影響を与えるようになった。この点は、現在の中国を考える上でとても重要である。この制度は巨大な汚職を生む原因となった。

科挙の合格者は必ず見ず知らずの任地に派遣される3年程度で次の任地に異動する。地位は世襲されないが、その権力は絶大である。そのような条件が重なれば、誰だって派手に汚職し蓄財するだろう。中国共産党中央政治局兼重慶市党委員会書記を務めた、薄熙来の汚職の派手だった理由もまさにここにある。

中国人は約1,000年間、このようなシステムのもとで生きてきた。そのため、心のどこかに、勉強ができないから、あるいは商売をする才覚がないからそうした人が農業をしているのだと考えるようになった。中国人は貧困を自己責任と考える。農民でいることも自己責任。弱者に対して思いやりのない社会である。

「科挙制度を作ってしまったがために、中国には武士道も騎士道もありません。その結果、中国の軍人には、忠誠心などありません。国のために戦うなどということは、これっぽちも考えていません。そんな軍隊が強いわけないでしょう」。というわけで、リアル日中戦争もこわくない。もちろん、戦争なんかない方がいい。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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