原材料高騰でも「ソーセージ」が安売り戦争をやめられない理由

 

3社とも近年ウインナーの販売には力を入れており、積極的にテレビCMを放映し、安値で店頭展開するなどしています。そのためか、ソーセージの物価は近年下落傾向が続いています。政府が発表している消費者物価指数を見てみるとそのことがわかります。

食料品全体の物価は18年に入ってやや下落傾向にあるものの、それまでは緩やかながらも上昇傾向にありました。15年を100とした場合、18年1月が105.9、4月が102.8となっています。

一方、ソーセージの全国平均の物価は右肩下がりとなっており、18年4月が95.1となっています。東京都区部に限ると落ち込みはさらに大きくなり、18年4月は90.8にまで低下しています。

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こうした傾向はハムやベーコンなどを含めた加工肉全体でも見られます。ただ、東京都区部ではソーセージの下落が加工肉の中でも顕著です。東京都区部の18年4月の物価指数は、ハムが94.4ベーコンが95.3だった一方、先述した通りソーセージは90.8と大きく落ち込んでいます。

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多くのスーパーではウインナーを加工食品売り場の中でも目立つ場所で展開しています。また、特売品としてチラシに掲載し、集客の目玉にすることも少なくありません。特に近年はウインナーの安売り競争が激しさを増しています。そのことがソーセージの物価の下落につながったといえるでしょう。

商品の価格は基本的にスーパーなどの小売り側が決めます。一方で、メーカーはリベート販売奨励金を小売り側に支払うことで値引きの原資を提供し、間接的に価格をコントロールしようとします。

メーカーとしては、加工肉の中でも人気が高く家庭でよく消費されるウインナーの販売に対して多額のリベートを支払い、店頭価格を大幅に引き下げ、利益を削ってでもシェア拡大を目指すことがあります。近年はそれが顕著です。

また、メーカー各社はテレビCMの放送にも躍起になっています。たとえば、伊藤ハムは俳優の松重豊さんを起用した「御殿場高原あらびきポーク」の新テレビCMの放送を4月から開始しました。このように大手各社は巨費を投じてテレビCMを放送するなどしてブランドの認知度を高めシェア拡大を狙っているのです。

ただ一方で、原材料価格が高騰しているという問題もあります。少なくない宣伝広告費がかかる上に原材料費の上昇という要素が加わっているため、利益が大きく削られているという現実があります。

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