せっかく頭の中にたくさんのノウハウを持っているのに、接客する相手にうまく伝えられない販売員が多いと嘆くのは、無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん。「ノウ」と「ハウ」を分けて考えることがコツだというのですが…、いったいどのようにしたらいいのでしょうか?
ノウとハウを分けて考える
よく耳にする、『ノウハウ=know-how』という言葉があります。意味としては、まとめて、知識や手法といった意味ですが、せっかくたくさんのノウハウを持っているのに、お客様にうまく伝えられない販売員が少なくありません。
これは本当にもったいないことだと思います。いくら勉強してノウハウを増やしていっても、そのノウハウをきちんと伝えられなければ、お客様には響かないからです。
どういうことかというと、例えば、「この紅茶はこうやって飲むと美味しいんですよ」というノウハウをお客様に伝えるとします。紅茶の入れ方にポイントがあるとしましょうか。それをお客様に伝えると、確かにお客様は、「へえ~そうなんだ」と言ってくれるかもしれません。
しかし、この伝え方は、ノウハウを伝えているのではなくて、“ノウ=知識”の部分しか伝えられていません。これだけだと、お客様は「へえ~」とは言ってくれても、商品を買おうとまでは思ってくれないことが多いんです。
だから、紅茶の飲み方を伝えるとしたら、その先の“ハウ=やり方”までを一緒に伝える必要があります。“ノウ”の部分は、「こうするといいんですよ」「これが正しいんですよ」といった、「こうなんですよ」が前提に来ているものです。
しかし、これには大事なことが抜け落ちています。「お客様が再現できるかわからない」ことです。例えいくら正しいやり方、「こうなんですよ」を伝えても、それをお客様が自分自身で再現できなければ、ただの知識でしかないんですね。
先ほどの紅茶の例に戻りましょう。
「この紅茶はこうやって飲むと美味しいんですよ」という“ノウ”を伝えたとしても、それが専用の道具を持っていなければできないことだったら。お客様は、自宅で再現できないのですから、ただ知識を学んだだけになってしまいますよね。お客様に響かせて、紅茶を買ってもらいたいなら、ここで、“ハウ”を伝えるのです。
おそらくこんな流れになると思います。
「この紅茶はこうやって飲むと美味しんですよ」(=ノウ)
↓
「でも、道具が必要なので、ご自宅だとなかなか難しいですよね」
↓
「お客様は、普段何を使って紅茶を淹れますか?」
↓
「でしたら、その道具を使って、こうやって淹れると、一気に紅茶の味が良くなるんですよ!」(=ハウ)
こうして“ノウハウ”を両方ともきちんと伝えることができると、お客様は自宅で再現することができるようになります。すると、一気に自分が紅茶を飲んでいる姿が想像できて、商品が欲しくなってくるのです。
何度も言いますが、知識だけをただ伝えるのは、あまり意味がありません。それは、お客様にとっては講義を受けているのと何も変わらないからです。
大事なのは、その知識を持った上で、お客様が再現をするためのやり方を伝えられるかどうか。これができる人が、販売員として優秀な人で、ネット社会でも生き残れる販売員です。
あなたの持っているノウハウを分解して考えてみてください。知識ばかりになってしまっているならば、ハウの部分をどうやって増やすかを考えましょう。それを合わせて、お客様に伝えていくことで、必ず商品の売れ方が変わっていきます。
今日のおさらいです。
- ノウハウは、ノウ(=知識)だけを伝えるのでは意味がない。ハウ(=やり方)も伝えて、再現性を持たせる。
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