トランプ、「EUは 敵」
NATO首脳会議で、欧州、特にドイツを非難しつづけたトランプさん。その後も、彼の「口撃」は止まることがありません。15日放送のCBSとのインタビューで、「EUは敵」と発言。またEUの民の怒りを買っています。BBC NEWS JAPAN7月16日付を見てみましょう。
CBSニュースに、世界における競争相手や敵は誰かと聞かれたトランプ氏は、「敵はたくさんいる」と答え、ロシアや中国にも触れたが、真っ先に言及したのがEUだった。「欧州連合は敵だと思う。貿易で我々にやっていることが。欧州連合のことをそう思わないかもしれないが、あそこは敵だ」とトランプ氏はインタビューで述べた。
「敵はたくさん」いるけれど、「真っ先に言及したのはEU」だそうです。
「欧州連合は敵だと思う」。もちろん「貿易上の」という言葉が前についていますが…。
ところで、なぜEUは敵なのでしょうか?
記者に真意を問いただされると、トランプ氏はEUが「とても厄介だ」と発言。「貿易について言うと、本当に自分たちを言いように利用している。NATOの色々な国は、払うべき費用も払わない。たとえばドイツがそうで、大問題だ」と続けた。その上でトランプ氏は、ロシア国営企業ガスプロムとドイツ、フランスなどの企業が出資するパイプライン「ノルド・ストリーム2」に言及した。
トランプ氏は11日、NATO首脳会議に先駆けてEUへの天然ガス供給を増やすためのこのパイプラインを取り上げ、「ドイツは完全にロシアに制御されている。なぜならエネルギーの60~70%と新しいパイプラインまで、ロシアからもらうことになるからだ」などとドイツを非難した。
(同上)
批判の理由は変わっていません。
1.NATO加盟国の軍事費が少なすぎる
トランプは、全加盟国にGDP比2%を要求。今回、突然「4%にしろ!」といい、世界を仰天させた。
2.「ノルド・ストリーム2」ガスパイプライン計画。
アメリカがこれに反対する理由は、
- 欧州のロシア依存度が高まる
- 親米反ロウクライナが、トランジットから外され、苦境に陥いる
- アメリカが、欧州に液化天然ガスを売りたい
からでした。トランプは、さらにEU攻撃をつづけます。「EUの企業がイランと取引すれば制裁を科す!」と決めたのです。
<米政権>「欧州企業にも制裁」 イラン制裁措置違反の場合
毎日新聞 7/16(月)23:46配信
【ワシントン会川晴之】英フィナンシャル・タイムズ紙など複数の欧米メディアは15日、トランプ米政権が欧州諸国に対し、米独自のイラン制裁措置に違反した場合は欧州企業にも制裁を科す考えを伝えたと報じた。ポンペオ米国務長官とムニューシン米財務長官が連名で署名した書簡で通告したという。イランとの関係を重視する欧州諸国は欧州企業を制裁対象から除外するよう求めていたが、米国はこれを明確に拒否した形。
これは何でしょうか?
2015年7月、いわゆる「イラン核合意」が成立しました。2016年1月、国際原子力機関(IAEA)は、「イランは合意を履行している」と宣言。これで、イラン制裁が解除されていった。ところが、トランプさんは2018年5月、この合意からの離脱を宣言。そして、イランに再び制裁を開始した。
といっても、「イラン核合意」に署名した他の国々、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国、イランは、依然としてこの合意を支持している。それで、アメリカの「独自制裁」です。EU企業が、そのトバッチリを受ける。ちなみに日本企業も他人事ではありません。
イラン産原油を輸入する日本も欧州同様の措置が取られる可能性がある。
(同上)