特売品のチラシを打ってもどうしても他の「より安い店」のほうに客が流れ、結果価格競争に持ち込まれてしまう…。そんな状況を避けるためにはどのような手を打つべきなのでしょうか。 無料メルマガ『販促アイデアと経営活性化』の著者で、30年以上にわたる営業現場での経験を活かし販促専門家として活躍中の前沢しんじさんは、価格ではなく、「当店ならでは」の商品をアピールすることが大切だとし、その具体的な戦略をとあるスーパーの事例をもとに紹介しています。
これなら競合に勝てる
チラシにせよ、新聞広告にせよ、基本的には特売品の紹介が中心となります。特売品で集客しつつ、売りたい商品を買っていただいて、全体荒利の確保につなげるわけです。
しかし特売品は他店と価格の比較が簡単で、どうしても安い店が有利です。つまり資本力のある大手企業の土俵となります。ですから競合する上で、価格競争はなるべくさけたい。
そこで大事なのが「当店ならでは」という商品をお客様にアピールすることです。それなら自店の土俵での勝負となり大型店とも互角以上に戦えます。しかしそんな商品は現実的にはなかなかありません。
そこで……、「特集」するんです。
お客さまが喜ぶようなあるテーマを決めて、そのテーマに沿った商品を「揃える」のです。ある特定の商品なら負けても、それらの「商品群」なら負けない。さらに「ある商品群の特集」であれば、価格競争しなくてもすみます。
筆者のコンサル先のあるスーパーではその手法を使って効果を上げました。こんな広告です。
● 麺特集
● 茶がゆ特集
● 黒ニンニク特集
大事なことは…
かといって「テキトー」にテーマを決めてはだめです。あくまで「お客さまが喜ぶ商品なのかどうか」をいちばん先に考えなくてはなりません。
この時期にはこういう商品が喜ばれる、なんていうことはどこのお店でもつかんでいますし、それを販促に結びつけることなどこでもやっています。あくまで「当店ならではの企画」にしなければならない。
そこでお客さまが何を望んでいるのか、何なら喜ぶのかをよーく考えて、調べることが大事です。そのためには、お客様のナマの要望を知ることです。そのためにはいくつか方法があります。
これまで何回か書いてきましたが、その方法についてここではふたつ紹介しましょう。
1.メモをとる習慣【重要!】
全従業員がメモとペンを必ず持ち、すぐメモする習慣にする。例えばお客様から聞かれたこと、要望、苦情、それにお褒めの言葉など。お客様同士の会話で参考になること。
ただし商品やお店のことだけ。盗聴するようなことになってはいけない。こちらから話しかけて返ってきた反応をメモする。
2.お客様と立ち話をする【重要!】
お客様から直接情報をいただくには、「立ち話」。ホンモノの声が手に入ります。会議でも同じですが正式な会議とは別にお気軽会議(例えば、タバコをすいながらとか酒を飲みながら)をするとホンネが出ます。肩の力が抜けて自由な意見が飛び出すのです。つまり、ホンネを聞くには「正式」よりも「ついで」のほうが適しています。
立ち話にルールなどありません。いつでも気軽にお客様に話しかけることです。どういう答えが返ってくるか、それは分かりませんが、「その場でついしゃべったこと」なので実感だということ。
ここでもかならずメモをとりましょう。ただし、ぜったいにお客様の前でメモしてはいけません。取材ではなく親しい会話なんですから。
結果
商品にもよりますが、これまで「特集」などしていない場合は昨年同時期と比べて2倍以上売れます。こういう企画を増やしていけば、どんどん売れ筋商品が蓄積できることになります。
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